Tommy Flanagan, John Coltrane, Kenny Burrell & Idrees Sulieman – The Cats (1959)
出身地が同じミュージシャンどうしは、絆がことさら深まるようである。ピアニストのTommy FlanaganとギタリストのKenny Burrellはともに1956年にデトロイトからニューヨークへ移住しており、ブルーノートの諸作品をはじめ多くのアルバムで共演するようになる。John ColtraneとIdrees Suliemanを含めた連名で発表されている名品『The Cats』もその一枚だ。
ほとんどのナンバーはFlanaganの筆によるものであり、アルバムに最も貢献しているのもやはり彼だ。「Eclypso」はFlanaganのトリオ作品『Overseas』でも録音されたラテン風の陽気なナンバー。軽快なトリオ版に対し、ギターとホーンが加わったこちらは厚みのあるスイング感がたまらない。「Tommy's Time」は落ち着いた雰囲気のブルースで、Louis HayesとDoug Watkins(この二人もデトロイトの出身だ)の作る着実でゆったりとしたリズムをバックに、Coltraneがのびのびとしたソロを聴かせてくれる。
ふだん名脇役のイメージが強いFlanaganが最も強く印象を残すのは、意外にもスタンダード・ナンバーの「How Long Has This Been Going On?」だ。むせるような熱気が満ちる本作の中において、トリオ形式で繰り広げられるこの抒情的で繊細なピアノの音色は、最高の清涼剤になっている。
そして、このアートワークのたまらない遊び心にもし全く触れない人がいたとしたら、多分その人はどうかしている。まるでジャズマンを仔猫に例えているかのようだが、そこにあるのは同郷どうしの睦まじいじゃれあいか、あるいはセッションで繰り広げられる熱い縄張り争いか。なるほど両者の共通点は多そうである。