見出し画像

Larry Young – Unity (1966)

  Larry Youngによる自信に満ちたこの傑作は、Jimmy Smith以降のオルガン・ジャズが進む方向を本格的に示した。グルーヴィーなソウル・ジャズから脱却しようとする試行と、モーダルかつ前衛的な構成を含んだその演奏は、Young本人をして〈すべてがかみ合っている〉と言わしめるほどの出色の出来である。それは〈結束〉という明快なタイトルにもよく表れており、さらにブルーノート作品の中でも特に優れたジャケット・デザイン(Reid Milesがすばらしい仕事をしている)に身を包んだおかげで、現在でも特別な輝きを放っている。
 本作は2曲のスタンダードと、トランペットのWoody ShawとサックスのJoe Hendersonが持ち込んだクセのあるオリジナルでできている。「Zoltan」はその名の通りZoltán Kodályの音楽をイメージした複雑なナンバー。Youngは安定したフットペダルのベースで個性的な二人のホーン奏者の活躍を演出する。「The Moontrane」もJohn Coltraneに捧げられたShawの作品で、Hendersonも実に堂々としているが、特にYoungのオルガン・ソロはこの曲においてどこか超然とした領域へと達している。
 たぐいまれなるドラマーElvin Jonesのプレイは、オルガンとの1対1のセッションからなる「Monk's Dream」で特にはつらつとして聴こえてくる。「Beyond All Limits」は疾走感にあふれたテクニカルなフィナーレだ。
 メンバーのいずれもがColtraneにインスパイアされているが、Youngの音はまさにオルガン・ジャズへの天啓だった。70年代以降も、Youngは常に前衛性とブラックネスを両立した作品を発表し、同時代のプレイヤーたちと一線を画し続けた。