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Curtis Fuller – Volume 3 (1957)

 1950年代にデトロイトからNYへやってきた多くのジャズ・ミュージシャンの中でも、Curtis Fullerはハード・バップ・シーンにおける貴重なトロンボーン奏者である。57年の半ばごろから怒涛の勢いでリーダー・セッションをこなしたFullerのアルバムの中でも、本作はブルーノート・レーベルの最終作であり、トロンボーンの重厚なサウンドとArt Farmerの端正なトランペットという、2ホーンの対比が光る逸品に仕上がっている。
 ドラマーLouis Hayesが早いビートを刻む「Little Messenger」では、印象的なSonny Clarkのピアノを皮切りに技巧的なソロのやり取りが行われる。「Quantrale」ではラテンのリズムを取り入れており、ミディアムなテンポながら演奏の熱さには特筆すべきものがある。「Carvon」はGeorge Tuckerのベースが抒情たっぷりにアルコを響かせ、転調後は素晴らしいハード・バップのアンサンブルが展開されていく。しかしこの曲はなんといってもラストを締めくくるFullerのトロンボーンが実にクールだ。
 6曲のうち5曲がFullerのオリジナルであり、その点でも本作は彼の才能の幅広さを証明している。Farmerとのコンビは高く評価され、後にFarmerがBenny Golsonと結成した〈The Jazztet〉にはFullerも誘われることになった。名前がFullerのアルバム『Jazztet』から採られたことからも、彼への強い信頼が感じてとれる。