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Hampton Hawes – Four! (1959)

 軽快にして端正、繊細だが時に大胆。無二のスイング感覚を持つHampton Hawesのピアノには、誉め言葉がいくらあっても足りないくらいだ。コンテンポラリー・レーベル時代におけるHawesの名作群、いわゆる<トリオ三部作>に続いて発表された『Four!』は、ドラマーのChuck Thompsonに代わってShelly Manneを据え、そしてそこへギタリストのBarney Kesselを迎えた4人編成で録音されている。
 アルバムはHawesが敬愛するCharlie Parkerの「Yardbird Suite」にはじまり、アップ・テンポなスタンダード「There Will Never Be Another You」に続く。このカルテットの魅力はスピード感のあるナンバーに凝縮されていて、たとえば「Sweet Sue」や「Up Blues」ではスインギーなリズムの中に、Hawesの鋭く切り込むようなタッチが気持ちよく響きわたっている。そんなスリリングなピアノに呼応してか、Kesselのギターのトーンにもみるみると情熱がこもっていく。「Bow Jest」はなんともひねりのないダジャレ(ついでにメンバーが〈スイング〉するジャケットも)のタイトルがご愛敬だが、Red Mitchellの上品なアルコの音色が楽しめる、ベーシストらしいオリジナルだ。
 ジャズ・ピアニストには聴く者を圧倒する技巧派と、反対に底抜けの楽しさを追求するタイプが存在する。往々にして水と油になりやすいこの二つの感覚を、Hawesは並外れた個性の力でいとも簡単に統合してしまっている。