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The Wailers – At The Castle (1961)

 初期のロックンロール・バンドの中では、Buddy HollyのThe Cricketsに次いで先駆け的存在であるThe Wailersは、合衆国の北西部を中心に人気を博したグループだ。ガレージ・フリークの聖典となった彼らのファースト・アルバム『The Fabulous Wailers』はインストのR&Bが中心で、ボーカルをフィーチャーした曲が少なかったのだが、彼らにはHollyのような強烈な歌声の代わりに、ソウルフルなサックスやジャジーなオルガンという武器があった。
 61年のライブ盤『At The Castle』では"Rockin'" Robin RobertsとGail Harrisというボーカリストを迎えている。骨太な歌を聴かせるRobertsはフルタイムの歌手ではなかったが、The Wailersと録音した「Louie Louie」のシングルが同年にローカル・ヒットした実力派だ。Harrisのボーカルも強烈で、「I Idolize You」のシャウトはTina Turnerにだって負けていない。
 「Dirty Robber」と「Tall Cool One」はファーストに収録された代表曲だが、興味深いのはFreddie Kingの「San-Ho-Zay」やJulian "Connonball" Adderlayの「Sac O' Woe」といったブルース、ジャズのカバーだろう。両者ともそれぞれのジャンルでは共通してファンキーに傾倒していたプレイヤーで、The Wailersもそれに倣って強力な演奏を繰り広げる。特に後者におけるMorrillの熱いオルガンは聴き逃せない。
 Robertsは67年に起きた自動車事故によって27歳の若さで亡くなっている。かつて〈ロックンローラーは27歳で死ぬ〉という有名な迷信がささやかれたものだが、彼はその最初期の例といえるだろう。