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Talking Heads – More Songs About Buildings And Food (1978)

 『77』で衝撃的なデビューを果たしたTalking Headsのセカンド『More Songs About Buildings And Food』は、Brian Enoが1978年にプロデュースした3つのニューウェーブ・マスターピースの中の1枚だった。もう2つはDevoのデビュー盤と『No New York』である。どれも方向性は異なっているように見えるが、いずれの作品にも共通しているのは、ディスコが席巻していたメイン・ストリームに向けたCBGB流の乾ききった冷笑主義だ。
 アルバムの中ではChris FrantzとTina Weymouthが支配する複雑怪奇なリズムを基にDavid Byrneの神経質なボーカルが展開される。焦燥感に満ちた「Thank You For Sending Me An Angel」や「I'm Not In Love」などはその典型とも言うべき曲で、特に後者は10ccの同名異曲とは似ても似つかない出来だ。その一方で目を惹くのが、タイトなビートから解放されたAl Greenの「Take Me To The River」のカバーである。Jerry Harrisonのシンセサイザーは時に美しく、時に奇妙にアルバムを彩っていく。
 アフリカン・リズムを吸収した彼らが次に食指を伸ばしたのがカントリー・ミュージックというのも印象的だ。Byrneは「The Big Country」の中で豊かな街の風景を俯瞰し、水彩画のように淡々と描写し、最後には突き放す。この曲は決してのどかなロード・ムービーではないのだ。この曲を聴いたあと、裏ジャケットにあしらわれた合衆国の姿がどう映るかは人それぞれだろうが、Talking Headsというバンドの底知れなさだけはっきりと感じられるはずだ。