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Monks – Black Monk Time (1966)

 西ドイツのカルト・バンドMonksはメンバー全員が修道僧のいでたちで演奏をした。キャラクターを徹底的に演じるバンドとしてはかなり古いグループであり、またガレージ・パンクの先駆としても知られているが、彼らの正体はもともとThe Five TorquaysというGIが結成したアメリカン・バンドから発展したものである。Monksは当時の多くのバンドと同様に、ベトナムに思いを馳せ、大量殺りく兵器へ怒りを燃やす5人の風変わりな若者だった。
 リード・トラック「Monk Time」は彼らの名刺代わりの一曲だ。甲高いGary Burgerのボーカルの後ろで繰り返されるこのガシャガシャした音はいったい何だろう?これはDave Dayの奏でるエレクトリック・バンジョーによるもので、三味線にも似た扇動的なリズムは今聴いても新鮮だ。Larry Clarkのフリーキーなオルガンも、Al KooperがBob Dylanの横で「Positively 4th Street」を弾いていたのと本作がほぼ同時であることを踏まえれば非常に先進的である。「Boys Are Boys And Girls Are Choice」に至ってはBo Diddleyを数段アグレッシブにしたようなビートを聴かせる。彼らの放つ言葉もサウンドと同様に過激だ。「Shut Up」や「I Hate You」はタイトルからして荒々しく、特に前者は短いながらも黙示的なセリフでリスナーを冷たく突き放している。
 熱い感情や包み隠さない欲望さえ乗せた『Black Monk Time』が、しばしば最初のパンクと評される理由は非常に明快だ。