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Johnny Young & Big Walter – Chicago Blues (1968)

 ブルースが米英の若者にもてはやされるようになってからは、ギタリストJohnny Youngのバンドにも定期的な仕事が舞い込むようになっていった。本作を録音した翌年にはシカゴのパブ〈ワイズ・フールズ〉(Son SealsやOtis Rushがここで素晴らしいライブ盤を吹き込んだ)でのステージが評判になったが、当時の彼の魅力はなんといってもBig Walter Hortonが吹くハープとの息の合ったプレイである。
 ブルー・ホライゾンでの作品を聴いたファンにとっては、Youngはマンドリン奏者としてのイメージも強いブルースマンといえる。しかし、本作では冒頭の「Strange Girl」からして、アルバムのタイトル通りのシカゴ・スタイルをかましてくれる。おなじみの3連のリズムでブルース・ギターをかき鳴らしているのはまだデルマーク・レーベルからデビューする前のJimmy Dawkinsだ。スローな「On The Road Again」における彼の気合の入ったモダンなギター・ソロを聴いてほしい。レコードにはFloyd Jonesの名前こそクレジットされているものの、同年のCanned Heatのバージョンとは似ても似つかない曲に仕上がっている。
 ハープが主役の「Walter's Boogie」のほか、明るいロックンロール風の「Fumbling Around」ではLafayette Leakeのピアノも軽快にさえており、まるで全員が同時にソロを弾いているような感覚になる。後のバンド・メンバーとなるBob Riedyによれば、YoungとHortonはケンカ別れをしてしまったというのだが、この明るくにぎにぎしいサウンドからはおよそ信じがたいことだ。