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4 Hero – Parallel Universe (1994)

 ブルックリンでブームバップが原油の噴出のようにヒップホップ界に現れたように、1990年代の初頭はアンダーグラウンドの住人たちが一斉に各地のメジャー・シーンに強襲をかけた時代だった。そのころのロンドンでは、ドラムンベースの攻撃的なビートとベース・ラインが、テクノ・ミュージックの地平を今にも叩き壊そうとしていた。
 DegoとMarc Macのコンビからなる4 Heroの『Parallel Universe』は、いち早くその火ぶたを切り、かつ称賛もされた一枚だ。「Universal Love」では目まぐるしいドラムのリズムに、ジャズ由来の粋なサックスとスピリチュアルな女性ボーカルを挑戦的に融合させ、「Parallel Universe」では絶え間ないビートの中でベースとシンセの美しいコントラストを構築している。「Talk Around Town」は、〈ジャングルとは何か?〉という問いに対する完璧な回答といえる一曲だ。しかし、彼らが決して攻撃性の高さだけで評価されているわけではないことも忘れないでほしい。それらは「Sounds From The Black Hole」の繊細なピアノのメロディ使い、そして「Power To Move The Stars」のスペーシーなサウンドによく表れている。
 91年の1st『In Rough Territory』に続く本作は、破壊的なビートを放つ音楽が広く受け入れられる芸術になりうることを証明した。そして、ジャングル・ミュージックは4 Heroの友人でもあるClifford Priceの登場でさらに飛躍していく。アメリカ帰りで総金歯の強烈なインパクトを持つそのDJは、文字通りジャングルの顔役になる——Goldieとして。