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Killing Joke – "Ha" (1982)

 Killing Jokeにとって初のライブ盤である『"Ha"』は当初10インチ盤で発表されたため、50年代のクラシック・アルバムよろしく30分にも満たない。だが、Paul Ravenを迎えてメロディアスになったバンドの新たな音楽性と、当時までアルバムに未収録だった初期の名曲が共存しているという点で、ポスト・パンク・シーンでは非常に重要な存在だったといえる。そしてその価値は、シングル盤「Birds Of A Feather」の内容がCDで追加収録されている現在でも、なお変わることはない。
 「Pssyche」はJaz Colemanの狂ったボーカルとKevin "Geordie" Walkerの鋭くリズミカルなギターが強烈だが、Paul FergusonとRavenの熱狂的なグルーヴがそれを支えている。「Sun Goes Down」はとにかく陰鬱で暑苦しく、「Take Take Take」にいたってはThe Beatlesの「Sgt. Pepper's」の重たいイントロ部分だけをひたすら繰り返したようなナンバーだ。聴く者を突き放すような冷徹さに満ちていながら、それでも体が動かずにはいられないのがKilling Jokeの不思議な魅力だが、名曲「Wardance」はまさにそんな一曲である。
 スタジオ・テイクも興味深い。「Birds Of A Feather」はKilling Joke流のアンセム・ナンバーである。「Flock The B-Side」もドラム・ラインはよく似ているが、Walkerのギターは氷のように冷たく、全体的にサイケのような酩酊感がただよっている。