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Paul Jeffrey Quintet – Electrifying Sounds Of (1968)

 当初ニューヨークで音楽教師を目指していたPaul Jeffreyは、大学卒業後にジャズを志して様々なミュージシャンのバックを務めながらサックスの腕を磨いていった。サヴォイ・レーベルから発表されたこのファーストには、理論家らしい複雑な音楽構造や、テンポやコード・チェンジが巧みに配されている。やや前衛的な一枚だが、サウンドの根幹にはブルースやR&Bの親しみがあり、なによりアルバムに耳を傾けて真っ先に印象に残るのはJeffreyによるエレキ・サックスの強烈なイメージだろう。
 モーダルなベースの導入から始まる「Made Minor Blue」は、非常に重厚なサックスのインパクトに耳を惹かれるが、Jimmy Owensの勇壮なトランペットやBilly Hartのファンキーなドラムとのやり取りを聴いていると、The Jazz Messengersの黄金期を思い出さずにはいられない。「I Guess I'll Hang My Tears Out To Dry」は一転してアコースティック・サックスで勝負したクールなスタンダード・バラードだ。
 あとは実験的なナンバーが続く。3拍子のメイン・テーマと突然変わるテンポ、そして攻撃的なブロウのインプロの対比がすさまじい「The Dreamer」。また、ゴスペル音楽を取り入れた「Ecclesiology」のタイトルは〈教会論〉を示す用語で、熱く独創的なアンサンブルでアルバムを締めくくる「A.V.G.」は、ずばりアヴァンギャルドのモノグラムだ。