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Paul Revere & The Raiders – Just Like Us (1966)

 はじめオレゴン州の学生たちの間から人気に火が付き、Dick Clark司会のTVショー〈Where The Action Is〉で合衆国全体に存在が知れ渡ったThe Raidersは、ジャケット写真のような18世紀風の衣装を身にまとい、洗練されたコミカルなパフォーマンスを披露していた。しばしばポップ・パンクの祖とも呼ばれる彼らは、The Beatlesをはじめとした英国勢に真っ向から立ち向かった存在であり、またその音楽性はThe Monkeesのように上質な60年代のアメリカン・サウンドと、The Sex Pistolsが持つ70sパンクの荒々しさを見えない糸でつなぎとめている。
 バンドのパンキッシュさを証明するリード・トラック「Just Like Me」は、ボーカルMark Lindsayのすさまじい絶叫、ダブル・トラックで録音されたDrake Levinの複雑に絡み合うギター・ソロが強烈に印象に残る。「Tobacco Road」風のオリジナル「Steppin' Out」やJames BrownのカバーはPhil VolkとMike Smithのリズムが実にファンキーだ。StonesやThemといった英国勢のカバーはいずれもインスパイア元に忠実な仕上がりながら、「Baby, Please Don't Go」ではVan Morrisonのハープの代わりにPaul Revereのオルガンがスリリングに響く。
 ラストは番組のテーマ曲の「Action」のカバー(この曲に限って言えばFreddy Cannonのバージョンより彼らの方がおとなしい)である。本作からThe Raidersはレコードとテレビを並行するようになる。この体制は荒々しい音楽のスタイルとともに、バンドが分裂する68年ごろまで続いた。