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Bobby Bryant Sextet – Ain't Doing Too B-a-d, Bad (1967)

 NBCのセッション・ミュージシャンとして活躍していたBobby Bryantのライブ・アルバムは、カデット・レーベルらしいファンキーさがあふれたソウル・ジャズの名品である。彼の太く豊かなトランペットの音色はブルースやゴスペル・ソウルを取り上げるにはうってつけで、ジャケットに写る堂々とした佇いにもそれはよく表れている。本作のサウンドの核心といえるのが、Sam Cookeの名曲「A Changes Is Gonna Come」のカバーだ。ブルージーなサックスをバックに、Cookeの歌心をBryantがブロウで再現するのだが、余計なアレンジを加えない演奏のまっすぐさに、言いようのない粋がある。
 ソウルフルさで言えば「58th Street」が一番だ。Bryantのオリジナルであるこの曲では、セクステットの重厚なアンサンブルが活きており、メンバーとして参加していたJoe Sampleもハウス・ロッキンなピアノ・ソロをここぞと弾きまくっている。
 ジャズのスタンダードで特筆すべきは、やはりブルージーな解釈を施した「Sunny」だろう。ゆったりとしたテンポの中で勇ましく響くトランペットは一聴の価値以上のものがある。「Blues For Ramona」はSampleが1962年にThe Jazz Crusadersのピアニストとして取り上げたことがある曲だ。聴き比べてみると、当時の若々しくアグレッシブな演奏からは、いささか余裕のあるタッチに変化しているのが面白い。