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Howlin' Wolf ‎– Moanin' In The Moonlight (1958)

 デルタ・ブルースの神話であるCharley Pattonにギターの教えを乞い、ブルース・ハープの王様Sonny Boy Williamson IIのブロウを受け継いだHowlin' Wolfは、1951年のデビュー曲「Moanin' At Midnight」で全米にその名をとどろかせた。しかし、それが人々の記憶に深く刻み込んだのは彼の楽器の技量そのものではなく、まさにオオカミのように力強い天性の歌声であった。
 イントロの不気味なうめき声から一転して始まるWillie Johnsonのハウスロッキンなギターと、不躾なノックを表現したWillie Steeleのドラム、そしてWolfのがなりたてるブルースで、「Moanin' At Midnight」という曲は出来ている。群雄割拠のシカゴ・ブルースにおいても、これほどのパワーと男臭さを持ち合わせるシンガーは存在しなかった。
 本作はサン・レコードのSam Phillipsらによる初期のメンフィス録音3曲と、チェス・レーベルによるシカゴ録音で構成されている。シカゴに移籍した後は、おなじみの個性派ギタリストHubert Sumlinや、名人Otis Spann、Willie Dixonらのサポートで名曲を連発した。「Smokestack Lightnin'」や「Evil」はブルース・ロックのスタンダードとなり、「I Asked For Water」の印象的でどこかコミカルなフレーズはブルースの歴史に残る名台詞として知られている。「Forty-Four」はRoosevelt Sykesのヒットで知られているが、多くの後発ミュージシャンはWolfのバージョンを模範とした。
 50年代初頭のWolfの録音契約を巡っては、チェスとRPMの間で諍いが起きたが、この無二の個性を前にすれば至極当然の事だ。彼に関する評伝にB.B. Kingが寄せた言葉がすべてを象徴している。〈Howlin' Wolfのようなものは二度と現れないだろう…〉