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Coloured Balls – "The First Supper Last", Or Scenes We Didn't Get To See (1976)

 The Purple HeartsやThe Wild Cherriesといったビート・グループを渡り歩き、The AztecsやRose Tattooではオーストラリア産ハード・ロックの誕生に立ち会っていたギタリストLobby Loydeだが、なんといっても彼の真骨頂は思い切りのよいブルース・ギターだった。70年代の初めにAztecsを脱退したLoydeが、自身の2枚のソロ・ワークに挟むようにして参加していたグループがColoured Ballsである。72年に録音された本作は彼らの最初のアルバムになる予定だったが、結局発表されたのはグループが解散したあとだった。
 ツイン・ギターが爽快なハード・ブギー「Time Shapes」、カントリー調の「Mean Mouth Lives」、爽やかなラブ・ソング「Love Me Girl Because」など、パブ・ロックらしいごった煮感はその手の愛好家たちにはきっとたまらないだろう。「Liberate Rock'n'Roll Part 2 Revisited」は彼らのデビュー・シングルを長尺なスロー・ブルースにアレンジした曲で、The Beatlesでいえば「Revolution」のようなものだ。LoydeとAndrew Fordhamのブルージーな渦に続くようにして、AztecsのメンバーだったWarren "Pig" Morganのタガの外れたキーボードがさく裂する。
 カバー曲はいずれもロックン・ロールの古典で、Elvis Presleyに多くの名曲をもたらしたソングライターOtis Blackwellによる「So Glad You're Mine」、そして問答無用の「Johnny B. Goode」ではLoydeが天才的なギターを披露する。数えきれないプレイヤーが挑戦したナンバーだが、Coloured Balls版は間違いなく歴史上で5本の指に入る傑作だ。