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Count Five – Psychotic Reaction (1966)

 『Nuggets』からCount Fiveを知ったような者にしてみれば、このアルバムはさぞ頼りなく映ることだろう。確かに本作の数曲を聴いてブリティッシュ・ビート勢を意識し過ぎだ、と言われればそれまでだ。数少ないカバーであるThe Whoの2曲は、オリジナルと比べるとはるかにパンチが弱い。
 だがそれだけでこのアルバムを捨て置く人がいればお説教ものだ。冒頭の「Double Decker Bus」の気骨のあるサウンドと外連味のある展開の仕方は、プロト・ガレージとしての実力の高さを証明している。また、本格的なブルース・ナンバーの「The World」におけるKenn Ellnerのソウルにあふれた歌声は、60年近く経った現在でもセクシーに聴こえる。
 全米5位を記録して彼らを一躍有名にした「Psychotic Reaction」はもちろん傑作である。John MichalskiとJohn Byrneによるタイトなギターは脅迫的な響きで聴く者の鼓膜に迫り、この曲の持つサイコな雰囲気に一層の拍車をかける。つづく「Peace Of Mind」や「They're Gonna Get You」も初期サイケの名曲と呼ぶにふさわしい出来で、特に前者はThe 13th Floor Elevatorsと並べても遜色はない。
 ブームが到来してからは、バンドはますますサイケデリックに傾倒していった。本作と同じレーベルのダブル・ショットからシングルを何枚か発売した後に彼らは69年に解散したが、「Psychotic Reaction」の成功に迫る作品を作ることはついになかった。