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Lazy Lester – True Blues (1967)

 ルイジアナ出身のLeslie "Lazy Lester" Johnsonは、1950年代の中ごろからJ.D. Millerのもとでエクセロ・レーベルのハーピストとして働き、Lonesome Sundown、Lightning Slim、そしてSlim Harpoなど数々のセッションを支えてきた。サイドマンとしての仕事の合間に少しずつ発表していった自身のシングルは、この『True Blues』という編集盤で67年に発売され、これが彼の最初のLPとなった。
 シカゴ系のバンド・アンサンブルをベースにしつつ、南部らしいダウン・ホームな雰囲気をも漂わせていた同レーベルの中でも、Johnsonの歌うブルースは特にロックンロールやロカビリーの要素を取り入れて個性を放っていた。それは本作の1曲目「I'm A Lover, Not A Fighter」を聴けばよく分かる。歌詞、サウンドともにBo Diddley風に仕上がったこの曲はJohnsonの代表作となり、あのThe Kinksもファースト・アルバムで取り上げて有名になった。
 手拍子とアンプリファイドされたハープの響きが気持ちいい「Sugar Coated Love」、あだ名通りのゆったりとしたブルース「I'm So Tired」など、さまざまな曲調をこなすのも職人らしいJohnsonの持ち味だ。「I Made Up My Mind」はJimmy Reedの独特なリズムを意識した印象的なナンバーだ。
 後半はグッとモダンさが増していく。「Because She's Gone」はスイート・ソウルとブルースのハイブリッドを見せ、「Pondarosa Stomp」は熱いオルガンとハープのセッションが聴きものとなっている。
 エクセロの仕事を総括した本作が発表された後、Johnsonはシカゴに移住して音楽活動からも一時引退状態に入った。80年代の後半に復活作『Rides Again』を録音するが、それを手引きしたのはMike Vernonその人であった。