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Downliners Sect – The Sect (1964)

 イギリス本国では大きなセールスに恵まれなかったブルース・シーンの古参Downliners Sectは、メンバーも音楽性もやや複雑な変遷を遂げたグループである。ギタリストのTerry GibsonとハープのRay Soneが在籍した時代のサウンドは、当時でもとりわけロック色の強い騒々しさと怒りに満ちており、同国で興ったパンク・ムーブメントを何年も先取りしたものだった。
 本作は初期の多くのビート・グループと同様に、有名曲のカバーで構成されている。バンド名を冠した「Sect Appeal」や「Be A Sect Maniac」などはプロデューサーであるMike Collierのクレジットになってこそいるが、その実はBo Diddley風のジャングル・ビートの焼き直しである。彼らが真に得意としたのはなんといってもJimmy Reedのブルースで、「Baby What's On Your Mind」ではスピードとパワーを増し、一方「Bright Lights」ではReedのあの独特なゆるみのあるビートに忠実に再現している。
 「Tiger In Your Tank」はMuddy Watersがニューポートの舞台で披露して広まったナンバーだ。Downliners Sectはこの曲を、Don Craineの独特のダミ声とコーラスの合いの手というシカゴ流のアプローチでしっかりと料理している。「One Ugly Child」や「Guitar Boogie」のような短いトラックではGibsonのテクニックと強烈なソロが光っているのも魅力だ。
 『The Sect』は70年代の後半にチャーリー・レーベルから再発されている。それはパンク・ブームに沸くイギリスの人々が、十数年経ってようやくDownliners Sectのとげとげしいサウンドの魅力に気づいたということだ。