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Stu Williamson – Stu Williamson Plays (1957)

 Stuart Williamsonによるこの12インチ盤は、西海岸のジャズ・シーンをともに支えてきた盟友Charlie Marianoとタッグを組んだアルバム『Sapphire』(1955年)を拡大したものである。二人の息の合ったプレイを楽しめるのはもちろんだが、さらに嬉しいのはStuartの兄であるピアニストClaude Williamsonの参加だ。そろってリーダー作の少ない兄弟で、Stuartにいたってはその短命な音楽活動のほとんどが50年代の作品に集約されてしまっており、そういった意味でも本作は貴重な一枚といえる。
 だが、それはStuartのプレイが地味だったということを示すわけではない。Claudeの筆による「Slugger」で聴かせる彼のソロは実に華やかで、それでいて軽快である。「Autumn In New York」ではバラードを色っぽくプレイする実力も見せるうえに、どの場面でも単調に陥ることがない。
 Marianoのサックスとの熱いプレイを楽しむなら「Sapphire」だが、いかんせん10インチ時代の録音ということもあってかMarianoのソロが短いのが玉に瑕だ。その点、「The Lady Is A Tramp」はClaudeの鮮やかなタッチを含めた、実に収まりのいい演奏を聴くことができる。「Stu's Dues Blues」はオーソドックスなブルースの中で、Stuartのミュートが繊細かつオシャレに決まっている。
 『Stu Williamson Plays』は硬軟をうまく取り合わせた、若干22歳のトランぺッターによる優れた導入篇だ。翌56年に録音された『Stu Williamson』は、ここへさらにJimmy Giuffreらを迎えた西海岸の重厚なアンサンブルを展開している。