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Juicy Lucy – Lie Back And Enjoy It (1970)

 カリフォルニア出身のギタリストGlenn Ross Campbellを中心に結成されたJuicy Lucyは、Bo Diddleyの個性的なカバーをするグループとして、英国のロック・シーンの中で注目された。Ray Owenのハスキーなボーカルで歌われる「Who Do You Love」のサウンドは、ブルース・ブームが次のステップへ向かっていたことを示すものだったが、セカンドの『Lie Back And Enjoy It』が出るころには、Owenを含むメンバーの半数が入れかわっていた。
 前身のThe Misunderstood時代から強烈な個性を放っていたCampbellのスティール・ギターは健在なまま、まるでTony Joe Whiteのようにがっしりとしたロックを身に付けている。そういった意味では「Built For Comfort」のヘヴィなビートも素晴らしいが、「That Woman's Got Something」のようなアコースティック・ブルースにも、彼らの南部音楽への愛情がよく表れている。
 今作から迎えられたギタリストMicky Moodyと、サックスのChris Mercerとが繰り広げるハードなジャムが聴きものの「Thinking Of My Life」は、優れたアルバムの導入の役目を果たしている。特にDelaney Bramlettの名曲「Hello L.A. Bye Bye Birmingham」は、彼らがアメリカのスワンプ・ロックに大いにインスパイアされた証拠だ。そしてFrank Zappaの「Willie The Pimp」のカバーでは、新ボーカルPaul Williamsの上手さとCampbellの狂わんばかりのギターにおもわず舌を巻く。
 バンドは以降もメンバー・チェンジを重ね、Moodyを中心に活動したあと1972年に解散した。彼らがスワンプ・ロックにここまで本格的に接近したのは本作が最後であった。