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The Dream – Get Dreamy (1967)

 後にジャズの名門ECMレーベルで大成し、ノルウェーを代表するギタリストとして知られるようになるTerje Rypdalは、The Dreamというバンドでサイケデリック・ビートにどっぷりと浸かりながら60年代を過ごしていた。当時バンドはThe BeatlesやThe Moody Bluesといった英国バンドをレパートリーにしていたのだが、RypdalのヒーローはもっぱらJimi Hendrixだった。『Get Dreamy』には誠実なトリビュート・ナンバーである「Hey Jimi」が収録されており、それにとどまらずHendrix本人へ向けてサインを入れたレコードを贈ったほどの熱の入れようであった。
 8分強の驚異的なジャムである「Ain't No Use」を聴けばわかることだが、『Get Dreamy』の主役はギターだけでは決してない。Rypdalがけたたましいフィードバックを放つと、負けじとオルガニストのChristian Reimによる狂気がうねりを上げ、Hans Marius StormoenのベースもJack Bruceのように強気な音を聴かせる。
 「Night Of The Lonely Organist And His Mysterious Pals」ではJimmy Smithのようなソウルを基調とし、かたや「Driftin'」では穏やかなラテン・ジャズ風に仕上げているだけに、Reimの持つ二面性はより際立つ。アルバムの最後は巧みなスペース・ロックの「Do You Dream」で幕を下ろす。
 本作の発表後、Rypdalの志向は徐々にジャズへ移り、翌68年には本格的なジャズ作品『Bleak House』をドロップする。『Bleak House』にはReimやTom KarlsenといったThe Dreamのメンバーも参加している。