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Jorge Ben – Bem-Vinda Amizade (1981)

 ほんの20歳そこそこで「Mas, Que Nada」という歴史的ヒットを放ったJorge Ben Jorだが、彼のサウンドと哲学はハングリーそのもので、年を追うごとに様々なもの(アフリカン・ビートから神秘主義に至るまで)を吸収していった。
 「Ela Mora Em Mato Grosso Fronteira Com O Paraguai」といったトラックの中で、Benはエレクトリック・ドラムを本格的に導入している。だかその一方で、美麗なコーラス・ワークや彼のオハコである大人っぽさに満ちたギター・サウンドのような、抑えるべきツボはしっかりと抑えられている。対照的に、1曲目の「O Dia Que O Sol Declarou O Seu Amor Pela Terra」では伝統的なパーカッションやホイッスルを用いたサンバのグルーヴを盛り込んだ。
 「Oé Oé (Faz O Carro De Boi Na Estrada)」のようなディスコ・チューンのおかげで、本作は一見して陽気な雰囲気に満ちたダンス・アルバムのようにも思える。こうしたシンセの音をチープだと切り捨てるのは簡単だが、レコードを通して聴くと、AORナイズされた深みのあるファンクに思わず酔いしれていることにも気づくはずだ。そういう意味で言えば、アルバム『Bem-Vinda Amizade』を象徴しているのは、Benのリズム・ギターが真骨頂を見せる「Para Que Digladiar」のようなシンプルなナンバーだといえる。