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Eddie Burns with Jimmy Burns – Snake Eyes (2002)

 デトロイトで40年代から活動し、Big Edだとか"Guitar" Burnsとあだ名されたEddie Burnsは、ギターはもちろんハープ、ウォッシュボードまでこなす器用な男だった。おなじくデトロイトで有名だったJohn Lee Hookerの録音にも数多く参加していることからも、その実力は折り紙つきである。ソロとしてのBurnsが最初に注目され始めたのは70年代に入ってからで、ヨーロッパやアン・アーバーにおけるブルース・フェスティバルへの出演がそのきっかけとなった。2002年の『Snake Eyes』はBurnsの円熟と健在を多くのブルース・ファンに知らしめたアルバムだ。
 本作に収録されている「I Call It Love」はアン・アーバーの舞台でも披露されていたシカゴ風のナンバー(The Pretendersの同名曲とは異なる)である。Burnsをサポートしているのは90年代以降のデルマーク・レーベルの看板ブルースマンとなった実弟のJimmy Burns。こうした兄弟の息の合ったセッションは「Jail Time」のようなスロー・ブルースで本領を発揮するものだ。ここではEddieがハープに持ち替えているが、そのプレイはSonny Boy Williamson Iの影響下にある古典的なスタイルを聴かせるのがなんとも嬉しい。
 かつてジョー・ヴォン・バトルに吹き込んだ「Treat Me Like I Treat You」や「Lend Me Your Love」といったラブソングは、基本的なサウンドは90年代以降のロック風ブルースでありつつも、昔ながらの繊細なアコースティック・ギターの音色を芯に据えることで、絶妙な音の対比が生まれている。
 Eddieは2005年の『2nd Degree Burns』が遺作となったが、Jimmyは現役を貫き、2020年代に入ってもなお新作を精力的に発表している。