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Buster Benton – Spider In My Stew (1979)

 まだシカゴに来て間もない無名のころ、Buddy GuyとJunior Wellsの並外れた演奏テクニックに打ちのめされたBuster Bentonは、その日からB.B. Kingのレコードを聴きながらギターの修練にのめりこんでいった。後にWillie Dixonによって見出され、彼のツアー・バンドの一員に抜擢されたことによってBentonは70年代初頭のブルース・シーンに急浮上する。幸運は続くもので、1973年の「Spider In My Stew」のヒットによって、彼はソロとしての成功もつかんだのである。Dixonがプロデュースしたこのシングルは、全盛期のOtis Rushにも迫るような力のこもったスロー・ブルースで、めまいがするようなロング・ブレスのCarey Bellのハープと、Mighty Joe Young(Bentonの旧友でもある)のギター、そしてベテランLafayette Leakeの小粋なピアノとが織りなす掛け合いがとにかく素晴らしい。これほどの曲がヒットしないわけがない。
 1979年に発表された彼の初LPには、やはり大名曲「Spider In My Stew」がフィーチャーされている。一方、新たに録音された曲には「Love Like I Wanna」や「Do It In The Rain」のように、ファンキー・ブルースの強い影響が見てとれるものが多い。アルバムの核心をなすのは「Born With The Blues」で、GuyとWellsよろしく、BentonがBellと火花を散らすようなセッションを繰り広げる。その姿にはシカゴのとびきり熱いソウルを感じ、思わず聴く者の胸も熱くなる。
 アルバムのラストには「Disco Blues」という愛嬌のあるナンバーが添えられている。一部のバージョンではジャケットや収録曲が異なっており、米国盤に未収の「Dangerous Woman」(「Spider In My Stew」のB面)が入っている。これもやはり強烈なシャウトが度肝を抜く一曲だ。