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Don Reno & Red Smiley – Together Again (1971)

 1964年の解散以来、バンジョー奏者のDon RenoはBill Harrellとコンビを組んでThe Tennessee Cut-Upsを率い、ギタリストのRed SmileyはソロでTV出演などを続けたのちに一時的に音楽を引退していた。71年に発表されたReno & Smileyの復活作『Together Again』は、あいも変わらずフレッシュなサウンドが響き渡る快演でファンを喜ばせた。
 アルバムにはHarrellと彼の重要なバンド・メンバーでもあるフィドル奏者Buck Ryanも参加し、新曲から往年のカントリー・ヒッツに至るナンバーを彩った。「Highway 52」は若き日のWilliam "Dave" Evansが書いた歌で、ブルーグラスを革新したRenoの巧みなバンジョーが冴えている。50年代に歌われていたバラード「Emotions」の再演は涙もので、豊かなコーラス・ワークが上品な美しさを醸し出す。他にも、Jimmie Rodgersの古典「Mule Skinner Blues」の明るいヨーデルや、「Buck Ryan Rag」の幸福感あふれるRyanのフィドル、そしてBill Monroeのゴスペル「Shine Hallelujah, Shine」など、カントリー音楽が含むさまざまな醍醐味がこのレコードには詰め込まれている。
 「Highway 52」とともにシングル・カットされた「Soldier's Last Letter」は、母親のもとに戦死した息子の手紙が届くという内容の歌で、第二次大戦中にErnest Tubbがヒットさせたものだ。Reno & Smileyは朝鮮戦争のころにも「Forgotten Men」のようなナンバーで、命を落とした若人に対する哀れみを歌ってきたが、こういった曲がベトナム戦争の時代に改めて歌われていたのはなんとも印象的である。