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Red Garland Trio – Groovy (1957)

 世にあふれるジャズ・スタンダードのなかでも「C Jam Blues」ほどシンプルな歌はない。メインのメロディがたった2つの音で構成されたこのナンバーがかくも広く長く愛されている理由を知るなら、Red Garland Trioによる『Groovy』を聴くのが最も手っ取り早いだろう。Paul ChambersとArt Taylorの溌剌としたリズムに乗って、Garlandの多彩なフィーリングがまるで魔法のように湧いてくる。本作の演奏によって彼はブルースの名手としての地位を確固たるものにした。
 Chambersのベースもまた見事だ。「Gone Again」はアルコとピチカートを巧みに使い分けて美しい音色を効かせ、「Will You Still Be Mine?」での早いが優雅なソロは、ひときわアップ・テンポなGarlandのタッチと素晴らしいコントラストを見せる。
 「Willow Weep For Me」のようなバラードにもGarlandのブルース感覚が行き渡っている。「Hey Now」は「C Jam Blues」と同様のシンプルさだが、スインギーなアンサンブルの中で時おりブレイクのように聴かせる軽いタッチが何とも言えない魅力である。