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Slade – Slayed? (1972)

 1972年、Sladeは全英1位のシングル「Mama Weer All Crazee Now」と待望のライブ・アルバム『Slade Alive!』、そして極めつけの大傑作『Slayed?』で、文字通りイギリスをやっつけた●●●●●のだった。フロントマンであるNoddy HolderやDave Hillの強烈な印象はもちろんだが、彼らの魅力は明快なロックンロールにあった。Sladeのヒット曲はいずれも思わず一緒に歌いたくなるようなフレーズのオンパレードで、歌のタイトルも露骨に口語的な表現にこだわっていた。
 アルバム『Slayed?』には「Mama Weer All Crazee Now」と「Gudbuy T'Jane」という二大アンセムが収録されているが、他の曲も同じくらいのエネルギーがある。「The Whole World's Goin' Crazee」のシャウトはまるでライブを聴いているような気分になるし、「I Won't Let It 'Appen Again」は重たいグルーヴの上に、Holderの情念がこれまた重くのしかかってくる。
 カバーも傑作ぞろいで、Jim Leaが巧みなベース・ソロを聴かせる「Move Over」、目まぐるしい演出「Let The Good Times Roll」と、いずれもアレンジの妙が冴えている。Sladeというバンドが、こと聴き手を盛り上げることに関しては非常にクレバーだったことは、この2曲を聴くだけでもよく伝わってくる。
 このレコードにはハード・ロックのすべてが詰まっていると言っても過言ではない。サウンドは最高に暑苦しいが、聴き終わった後の爽快感はなにものにも代えがたいものがある。