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Jimmy Heath – The Gap Sealer (1972)

 ジャズ・サックス奏者のJimmy Heathは、兄のPercyと弟のAlbertとともにThe Heath Brothersでの活動でも知られ、息子であるJames Mtumeも自身と同じくMiles Davisと共演した経験を持つ、まさにジャズ一家の人間だ。
 リーダー作の多くない彼のキャリアの中でも、実は1970年代に名作が多い。さらにいえば本作はMtumeとの初めての共演作でもあるということで、熱量もひとしおであろう。
 「Heritage Hum」はエレクトリック時代のDavisを思わせる一曲だ。エレピの音と太いベースに、Mtumeのパーカッションが加わった重厚なサウンドに、Heathのソウルに満ちたワンホーンが冴えわたっている。Albertがリリカルなドラムを披露するかたわら、Mtumeのソロがしっかりと確保されているのも面白い。「Invitation」はスタンダードのメロディを情熱たっぷりに歌い上げ、スムースで落ち着きのあるイントロの「Gap Sealer」には、モーダル、ファンク、スピリチュアルといった60年代以降のジャズの洒脱なエッセンスが詰まっている。
 Yusef Lateefに捧げられた「Angel Man」ではHeathの柔らかなフルートの音色が聴きものだ。「Alkebu-Lan (Land Of The Blacks)」は一転してアフリカンなリズムとテナーの雄大なブロウが気分を高揚させる。Mtumeの圧倒的なパーカッションも、ここが最大の見せ場とばかりにセッションを装飾していく。