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医療行為の同意書。内容が多すぎて本質が伝わらない

患者さんの目が死んでいる・・・私の話を聞いていない目でございますわ。

説明用紙にチェックや下線を引きながら一方通行でくどくど話まくる私。滑稽ですね。どっと疲労感に包まれます。

ですよね〜。難解な話を畳みかけられてもね。

私はかなりくどく説明するタイプ。

でね。失敗するんです。特に高齢者。

1〜10まで伝えるべき内容(重要度も1>>5>>10)があります。すべて説明すると消化不良でひとつしか覚えられません。しかも「6番目の項目」だけを記憶する。最も大事な1,2,3は覚えてない。

ミスコミュニケーションです。例えると、"松屋"に入って店員さんから細々と材料の産地やアレルギーの話をされた挙句、「あれ?結局私が頼んだのはカレー?それとも牛丼でしたっけ?」という。本質部分のコミュニケーションが取れないようなものです。

より多くを(誠実に?)説明しようとするほどに本質が伝わらなくなってしまうのです。

だとしたらはじめから最も大事な「1,2,3」に絞って話すべきなのではという。つまり「4〜10」の説明は省略します。術後合併症の「7」が起きてしまって、「聞いてない」と言われても「ごめんなさい」でなんとかやりくりする。そのほうが患者さん総体にとっての全体最適になりませんかね。

みなさんはどう思いますか?

医療訴訟を扱うお仕事の人、どう思いますか?

もれなく話すことは「誠実」ではなくて医療者にとっての護身行為であり、患者利益になっていないんです(むしろ害になっている)。ありとあらゆる可能性を説明し、すべてを理解いただいた上で契約に至るのは絵に描いた餅です。

あとがき

「意思疎通が困難なら治療しなければ良い」という意見もあります。しかし無治療で放置した場合の可能性を説明し、同意を得る必要があるという見方も出てくると思うのです。しんどいですね。

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