縮毛矯正剤や永久染毛剤を使うことで乳がんのリスクが増加する!

最近気になったニュースということで、前回に引き続き、毛髪関係の論文を紹介します。2019年にInternational Journal of Cancer(国際癌雑誌)に掲載された文献です。 

Eberle CE, Sandler DP, Taylor KW, White AJ. "Hair dye and chemical straightener use and breast cancer risk in a large US population of black and white women." Int J Cancer. 2019 Dec 3. doi: 10.1002/ijc.32738.

【背景】多くの毛髪系製品には、乳癌に潜在的に関連する内分泌かく乱物質や発がん性物質が含まれている。黒人女性が主に使う製品にはより高いホルモン活性の物質が含まれている可能性がある。

【方法】アメリカにおける前向きコホート研究。永久染毛剤および縮毛矯正剤と乳癌発生リスクの関係を調べた。2003年から2009年までに登録した、1人以上の乳がん罹患姉妹を有する35歳-74歳の女性46709人が調査対象。過去12か月間にヘア製品を使った人達を対象に含めた。

【結果】平均8.3年間の経過観察期間において、2,794の乳癌が見つかり、被験者の55%が永久染毛剤を使用していた。人種別では、永久染毛剤の使用は乳癌の罹患危険率を黒人において45%(HR = 1.45, 95% CI: 1.10-1.90)、白人において7%高めること(HR = 1.07, 95% CI: 0.99-1.16; heterogeneity p = 0.04)に関与していた。全ての被験者のうち、縮毛矯正剤の使用は、乳癌の罹患率を高めた(HR = 1.18, 95% CI 0.99-1.41)。使用頻度が増加するにつれて危険率は高まった(p for trend = 0.02)。

【考察・結論】永久染毛剤と縮毛矯正剤の使用は特に黒人女性で乳癌発生リスクを高めた。ヘアケア商品の化学物質は乳癌の発癌に重要な役割を担っているのかもしれない。

【コメント】ドキッとする内容です。ただ、他の類似の観察研究が多く存在しないようですので、エビデンスとして使うには時期尚早なのだと思います。日本ではどうなのか、乳癌専門の先生に一度聞いてみたいところです。

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