壮絶、産後うつ体験記


産後うつの体験記、
意外とあまり数がないので、
私が経験した産後うつについて、
少し詳しく書いてみようと思います。


初めての出産。
私は里帰りを選ばず、
実家からは新幹線で数時間離れた、当時住んでいた地での出産を決めていました。


もともと挙児希望の薄かった私。
妊娠・出産を決意したのも、
旦那さんのためでした。

この人を
パパにしてあげたい。

その思いだけだったので、
産後たとえひと月でも、我が子と父親である旦那さんを
引き離すという発想が
持てなかったからです。


産後は2週間ほど、実家から出てきてもらい、
泊まり込みで手伝ってもらっていました。


産後しばらくは
昼夜問わずの3時間授乳。

正直、寝不足は辛い。

でも、私の頭には、

産後入院中にもらった
義母からの手紙の一文が、焼き付いていました。


”しばらくは、赤ちゃんは数時間おきに泣き、
夜まとまって寝られないと思います。


でもそんなとき、ないとは思うけれど、
また泣いてる。。
なんて思ってしまうと、
赤ちゃんはそれを敏感に感じ取ります。

赤ちゃんが泣いた時は、
絆を深めるチャンスと思って

いつでも穏やかな気持ちで、笑顔で
接してくださいね。”

お手紙をいただいた時は、

なんて素晴らしい、
先輩ママらしいお言葉なんだろう。
笑顔で、頑張らなくちゃ!

と感動し、いつでも手紙を見れるようにと、
枕元に置いているほどでした。


でもその想いが、

母なのだから辛くても我慢しなければ。
辛いなんて思ってはいけないのだ。
母なのだから、常に笑っていなくては。

と強迫的に気負うことにつながっていった気がします。

その日から、自分の気持ちに蓋をして、
辛いことも辛いと言わず
気持ち悪いくらいの笑顔を
息子に向けて過ごしていました。


私が頑張らねば、
頑張らねば、頑張らねば。
母なのだから。


そう自分を追い込んでいるうちに、

眠れなくなり
食べられなくなり
少しずつ、確実におかしくなっていきました。


具体的には、
イライラする
目が見えない
頭が痛い
眠れない
食べられない

我が子なのに、
泣き声を恐怖と感じる。

我が子が怖い、と感じる。

ショックでした。
もともと母親になる自信はなかったけれど、
まさか我が子に恐怖を感じるとは。

可愛くて可愛くて仕方ない様子の旦那さんや
同じ時期に出産した友達と比較しては、

自分の抱いている感情に
愕然としました。

自分は生物学的に
大きな欠陥があるのではないか

母になってはいけなかったのではないかと、


本当に本当に悩みました。


息子だけ義両親の実家に預かってもらったり
実家の母に再び来てもらったり
産後ヘルパーを使ったり

なんとか騙し騙し産後7ヶ月が過ぎましたが、
私の息子に対する恐怖心は
消えるどころか膨らむばかりでした。


このままでは
自分が死ぬか、私が息子を殺してしまう。


本気でそう思い、

息子を頭のおかしくなった私から守らなければ、
との思いで、

病院に行きたいと、旦那さんに訴えました。


県外にある
産後うつを専門に見ている医師を受診し、
その日そのまま、
重度の産後うつの診断で閉鎖病棟入院となりました。


うつの症状自体は、私の場合、産後2ヶ月くらいからあったように思います。
自分でも、これはおかしい。
と思い、産後4ヶ月の頃から、旦那はもちろん、実母や義母、保健師さん、虐待防止センターなど
あちこちに相談はしていました。


(唯一、担当してくださっていた保健師さんだけは、何を言っても受け止めてくれ、病院受診を勧めてくれました。)


息子を可愛いと思えない。
息子が怖い。


そう曝け出しても


産後はみんな辛いのよ


の一言で
終わってしまうことが
多かった。


私の悲痛な声は、
届かないのだ

と、感じたのを覚えています。

産後の母親が

息子を可愛いと思えない

なんて恐ろしいことを言うのを
周りも受け止めきれなかったのだと
思います。

そんなことが、
あるはずがない、と。


母親は、
子育てを
やって当たりまえ。
できて当たりまえ。


という、暗黙の了解。


赤ちゃんは、お母さんの愛情を十分に受けないと、
情緒不安定になる

という、
呪いのような思いこみ。


全てが苦しかった。


母親が、育児が辛いと表立って言うことが
許されない世の中なのだなと
痛感しました。


私は、信頼できる主治医と出会えたり、
家族の支えもあって、


回復の道を歩み始めることができましたが。


産後うつで自殺してしまった方、
産後うつが原因で
我が子を殺めてしまった方。


ここ数年だけでも、
かなりの数を
ニュース等で目にしました。


とても人ごととは思えなくて。

私と彼女たちとの間に、
大きな差があったとは
思えないのです。


彼女たちも

もっと早く助けを求められていたら
周りにもっと理解があったら

結果は違ったかもしれない。



2年間で92人。

産後うつで自殺した、産後1年未満の女性の数。
産後1年未満の女性の死因の1位は、自殺です。


はるか昔と比べ、
女性が社会で働くことが当たり前になり
LGBTQなど性の定義さえ
自由が認められるようになった新時代。


「母親なんだから」
「母親なのに」
「母親のくせに」


こんな不自由な枠は、
一刻も早くなくなってしまえばいいと
思っています。


命がけの出産をしたからって、
すぐ母親になれるってわけじゃない。

徐々になっていくのです。
そして大切なのは、そのスピードも人それぞれということ。

どこかで今も悩んでいる誰かにも、
届きますように。


かなり長くなってしまったけど、

壮絶だった私の産後うつの体験記を書きました。

育児中の人も、そうでない人も、
男性にも女性にも、

ぜひ読んでほしいです。


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