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ノベル+黄単ミッドレンジ

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灰色の雲が覆う戦没者の霊園にて。
ジャンヌ・ドラニエスは一際大きな墓地の前に佇んでいた。
墓石には彼女が生前手にした様々な勲章の紋様が彫り込まれ、両脇にはエンジェリックフェザーXとトワイライトファンタジアXが、主を護る様に突き刺さっていた。
ジャンヌは深呼吸をする。
生前の彼女の太刀筋が、戦法が、身のこなしが。
仕草が、何気ない日々が、思い出が、次々と蘇ってくる。
「こんな事を言うのはただの傲慢かもしれない…でも、それでも。今だけは許して下さい。わたくしは貴女に、」
ジャンヌは、エンジェリックフェザーXを握る。
「レイさんに、なって見せます!」

◇◇◇

焼け突く大地の上で、小さなジャンヌ・ドラニエスは目を覚ました。
「ネイ!」
意識を取り戻すや否やジャンヌは、自分の上でうつ伏せで倒れているメイドの名を呼びかけ、直ぐにその姿に絶句した。
背中は黒く焼け焦げ、鋭利な石柱の瓦礫が深々と突き刺さっていた。
彼女は、"それ"が煌臨する瞬間にジャンヌを押し倒し、熱波から主人を護るべく覆い被さった。
ジャンヌは殆ど無傷で済んだが、彼女の傘となったメイドはこと切れていた。
「ネイ!ネイ・ランテイル!起きて!お願い!…死なないで…」
メイドは僅かに目を開けていたが、もうそこに光は無い。
「嘘よ…どうして…こんな…」
黒煙で覆われていた空に、夕焼けの様な橙色の紋が現れる。
雲を裂き、大鉾を携えた緋色のジークフリードが舞い降りる。
魁たる龍は大鉾を振りかぶり、全てを滅却する一撃を構える。
「一時の平和ですら…許されないの…?」
鉾が振り下ろされる。
斬撃の形をした熱波が、地上の全てを溶断すべく迫りくる。
「跪いて!」
不意に声が響く。
熱を帯びた斬撃は掻き消え、雲間に居た筈のジークフリードは、突如襲ってきた加重力により地に落ちた。
「…え?」
ジャンヌと魁の間に、少女が一人立っている。
両の腰にはエンジェリックフェザーXとトワイライトファンタジアXを帯刀し、なびく軍服のコートの下からは、僅かに着物の様な衣装が覗く。
「ねえ、大丈夫?」
少女は振り返り、ジャンヌに向けて手を差し伸べた。
軍帽からは金色の長い髪が零れ落ち、無垢な蒼い瞳は真っ直ぐとジャンヌを見つめている。
「あ…貴女は…」
ジャンヌの目には、その少女が輝いて見えた。
「私?私の名前はレイ・オーバ!よろしくね!」
逃げ延びる事すら許さないこの黒く呪われた世界で、微かに瞬く星光の様に見えた。
レイのマジックに疲弊したジークフリード魁は、再び天高くへと撤退する。
場に、暫しの平和が訪れた。
「将軍!レイ将軍!」
一筋の流星が如く、レイの元に一人の熾天使が舞い降りる。
「あ、ラムちゃん!見てみてこの子、私とおんなじ詩姫だよ!」
「単独行動はだめだとあれ程…て、生存者!?」
蹄の音が近付いて来る。
熾天使の次に現れたのは、スピーカーの付いた首輪をぶら下げた漆黒の天馬。
『見せてみろ。…一匹は問題無いが、もう一匹の方が深刻だ。パラディンモードが来る前に処置をしなくては。』
「カオペちゃん。できそう?」
『貴様ら劣等系統と一緒にするな。あと、その間抜けな綽名で呼ぶのをいい加減辞めろ。』
カオスぺガサロスはそうスピーカーで話しながら、実際の口でジャンヌのメイドを咥えて持ち上げる。
「さあ、君もおいでよ!」
それが、ジャンヌとレイの初めての出会いだった。

ジャンヌ・ドラニエスは、リリと言う創界神をトップに据えた暫定的な自治区に連れられた。
そこはかつて詩姫学園と言う施設だったが、度重なる戦災により学園としての機能は形骸化し今やそこは避難民たちの為のキャンプと化していた。
「レイ将軍様のお帰りだ!」
「レイ・オーバ様万歳!」
この自治区のスピリット達にとって、レイは英雄だった。
二本の剣を携え、将軍と言う身であるにも関わらず戦線に立つその様は憧れの対象であり、この呪われた世界が求めたヒーロー像そのものだった。
「みんなー!ありがとー!」
等のレイは、そんな歓声にはファンサービスの要領で応えた。
昔は本当にトップアイドルだったと言う噂もあるが、まことしやかに囁かれる都市伝説の域を出ず、誰もそれを信じてはいなかった。
「ああ…レイさん…!」
レイの手を取った日から、ジャンヌのレイへの思い入れは日に日に強くなっていた。
いつも彼女と共に戦うラムディエルとカオスぺガサロスに嫉妬すらするようになった。
「わたくしも…いつか…!」
もしもネイ・ランテイルが昏睡状態から目覚めていたのなら、そんなジャンヌを即刻止めていただろう。
もう一度レイと言葉を交わしたい。
もう一度レイの手をとりたい。
もう一度あの蒼い瞳に見つめられたい。
ジャンヌはそんな衝動を糧に、入軍を決意した。

◇◇◇

「君が噂の新人だね(鑑定)。戦線にはとても出せたものじゃ無いけれど、詩姫だったら歓迎するよ(嬉)。ドローも出来る事だし、君には後方で補給の任にでもついて貰おうかな(適任)。」
軍を指揮していたのは、リリと言う創界神だった。
と言ってもその指令系統は至極朧げな物で、実際はレイのアシスト役と言った方が近かった。
「よぉ!お前があたしの後輩か?あたしはヴァリエル!これから宜しくな!ジャンヌ!」
かつて大天使と呼ばれた存在が、ジャンヌの同僚となった。
「これは?」
「完全自立駆動型モビルスーツ"ガンダムファラクト"の起動ボタンよ(解説)。ここではレイ将軍以外の全員が持ってる(完備)。」
「どうしてレイさんは持たないんですか?」
「両手が剣で塞がっちゃうから(理路整然)。」
ジャンヌは前哨基地"華黄の城門"にて、物資の調達の任に当たる事となった。
「あ!ジャンヌちゃん!やっほー!」
キャンプに居た頃よりかは、レイと顔を合わせる機会が多くなった。
ジャンヌはラムディエルが使う武具の手入れ、カオスぺガサロスが回収してきた物資や被災者の受け入れ、そしてレイが使う剣の整備などを行った。
決して花形とは言えなかったが、ジャンヌは今の自分に満足していた。
「ああ…レイさん…」
戦場へと出て行くレイの背中に延ばされた自分の手を、ジャンヌは自分で抑え込む。
「ダメ…」
ジャンヌにとって、これがレイとの最適な距離感だった。
レイの為に働けて、レイの姿を見る事が出来て、それでいてそれ以上に深い関係にもつれ込む事は無い。
ジャンヌは、レイとのこの距離をいつまでも保っていこうと誓った。

転機が起きたのは、それから暫く経った頃だった。
大規模作戦を明後日に控えた日の午後。
その日のレイは、いつもと少し様子が違った。
「ねえジャンヌちゃん。明日って、暇?」
「え?」
「明日、学園の横に新しく市街地が出来るんだって。一緒に遊びに行ってみようよ。」
それは最初で最後の、レイからジャンヌへのデートの誘いだった。

◇◇◇

商店街の入り口で、ジャンヌ・ドラニエスは人を待っていた。
ジャンヌは2時間前から此処に佇んでおり、約束の時間まではまだ30分程あった。
それでも、彼女はやって来た。
「ごめんごめん!待った?」
丸サングラスをかけ、普段着に身を包んだレイ・オーバが、急ぎ足でやって来た。
「いえ全然!わたくしも今来た所ですよ!」
「そう?良かったぁ。」
軍の活躍も相まって、学園近隣の治安はかつてない程まで安定していた。
この商店街はまさに、平和への前進の象徴だった。
「じゃあ、まず何所行こっか?ショッピング?それとも、朝ごはん?」
「レイさんと一緒なら何処でも最高ですわ~!」
「ふふ。ジャンヌちゃんはすっごく優しいね!じゃあ先ずは買い物にしよっか!」
それからレイとジャンヌは、商店街でのデートを楽しんだ。
「ねえねえ、この髪飾りどう?可愛い?」
「凄く似合ってますわよ!」
「ありがとー!じゃあこれは次のライブに…あ。」
「?」
「…あ、見て!あの服、ジャンヌちゃんに似合いそうだよ!」
時間はあっと言う間に過ぎて行った。
「あは!ねえ見て、私がいっぱい居るよ!」
「レイさん人形ですね。最近流行っているんですのよ。」
「そうなの?でも不思議、どうしてみーんな軍服なんだろう?」
明日、この長き戦いの結末を左右する大規模な攻撃作戦が決行される。
だがしかし、そこには今と言う時間を目いっぱい楽しむ、ただの詩姫が二人、そこに居るだけだった。
「ええ?レイさん、昔は本当にアイドルだったんですか!?」
「うん!実はラムちゃんもだよ~。あ、でもこの事はみんなには内緒にね。私とジャンヌちゃんだけの秘密だよ。」
レイにとっても、ジャンヌにとっても、その日は詩姫生最高の日となった。
「あの、レイさん。どうしてわたくしを誘ってくれたのですか?」
「…ジャンヌちゃん。私の事、どう思ってる?」
「え?」
「だってジャンヌちゃん。私の前だといつも何かをガマンしてる様に見えたから。その、もっと仲良くなれればなって思って。」
レイにとって、戦いに身を投じてから、同系統の仲間を持ったのは初めてだった。
レイは本当に嬉しかったが、同時にいつも自分の前だとよそよそしいジャンヌが気がかりでもあった。
もしかすれば、立場の違いで威圧してしまっては居ないか。
レイにとっては、それが死地に赴く前の唯一の憂いの種であった。
もっと、ジャンヌの事が知りたい。
それが、死地に赴くレイの最後の願いだった。
「わたくしは…」
唇が震える。
二本の剣を振るう無敵の英雄と自分とでは、あまりにも身分が違い過ぎた。
そんな相手に、こんな思いを抱くのは、ただの身の程知らずだと思っていた。
然しレイは、ジャンヌの'本当'を知りたかった。
ジャンヌは意を決し、今まで内に塞いでいた物を明かす事にした。
「わたくしは…もう一度レイさんの手に触れたかった…」
「?」
「もう一度、レイさんの蒼い瞳に見つめてほしかった!」
「…」
「レイさんと話したかった。レイさんを片時も視界から外したくなかった。レイさんと一緒に戦いたかった!レイさんの記憶の中ででも生き続けたかった!!レイさんと一つになりたかった!!!レイさん、レイさん、レイさんレイさんレイさん!!!ああ…わたくしはレイさんの様に…レイさんになりたかった!!!!!」
「!」
「わたくしは、レイさんの事が!」
不意に、レイはジャンヌを抱きすくめる。
「…ありがとう…ジャンヌちゃん…凄く嬉しいよ…でも、ごめんね…」
レイは、ジャンヌを見つめる。
心からの笑顔を浮かべるレイ、その澄んだ蒼い瞳は涙を湛えていた。
「それ以上聞いたら…私…もう…戦えなくなっちゃう…」
その日は二人にとって、最高の思い出となった。

◇◇◇

「カオスぺガサロスの【混沌聖命】で先ず二点を削る(堅実)。そこにダブルブレイヴしたレイ・オーバが出撃し、相手のブロックを回避しつつ残りの三つを取る(高打点)。今の戦場は更地、相手の保有戦力ももう殆ど無いし、攻めるなら今しか無い(限定)。みんな、この戦い、絶対終わらせるよ(激励)。」
リリのからの作戦指令を受けた皆々は、それぞれの持ち場に付く。
これが最後の戦いになる。
そう信じて。
「レイさん!」
戦場へと赴こうとするレイ・オーバを、ジャンヌ・ドラニエスが呼び止めた。
「どうしたの?ジャンヌちゃん。」
「あの、これ。」
ジャンヌは、両手で大切に持っていたそれを、レイに差し出す。
「レイさん、はいど~ぞ。」
それは軍服では無く、詩姫学園の制服に身を包んだ、レイ・オーバを模した手作り人形だった。
「レイさん、これ……わたくしの手作りなんです。受け取ってくださいな。」
「わぁ~、ジャンヌちゃん、これ私だね。ありがとう!」
その制服は、レイにとって最も輝かしい思い出だった。
レイが昔アイドルだった事を知ったジャンヌは、詩姫とアイドルと言う職業の関係性から、レイがかつて学園に在籍していたのではと推測し、衣装を制服とした。
「大切にするね!」
レイは人形を受け取ると、二本の剣と共に、戦場へと向かった。
その後ろ姿は、ジャンヌの記憶と心にいつまでも心に残り続けた。

◇◇◇

快活な蹄の音が、戦場を駆ける。
カオスぺガサロスは、敵の本拠地へと向けて走り続けた。
その横にはトワイライトファンタジアXを二つ装備したレイ・オーバも並走している。
目の前に敵は居なかったが、そこには海の上に建つ巨大な闘技場が、"青の世界"がそこにはあった。
『こちらカオスぺガサロス。将軍と共に持ち場に付いた。』
「了解(受理)。これより作戦を開始する(宣言)。ヴァリエル、いっちょやっちゃって頂戴(命令)。」
「おう!"ホーリーサイン"!」
天が金色に染まる。
青の世界は蜃気楼の様にその存在が薄らぎ、力は完全に失われた。
「今よ!(出撃)」
リリの号令に合わせて、カオスぺガサロスが突撃する。
目指すは五つのコアが埋め込まれた機械の柱、異界より軍勢を召喚し続ける侵略装置だ。
『はああああ!』
ぺガサロスは飛び上がり、柱に前足での蹴りを繰り出す。
柱を防護する様に半透明のシールドが出現したが、呆気なく破壊された。
『【混沌聖命】!』
柱の二つ目のコアが金色の光に包まれ、砕かれた。
『よし、今だ!』
「何がだ?」
『!?』
次の瞬間、カオスぺガサロスは弾き飛ばされた。
「カオペちゃん!?」
『ぐ…クソ…ライフ回復に反応して出てきやがった…』
柱と二人の前には、人型をした漆黒の呪鬼が居た。
『ビランバ…!』
ビランバは紫色の波動に包まれている。
スピリットのコアを抹消する、死の波動だった。
「さて、馬か女か、どっちから取り立ててやろうか。」
ビランバは品定めでもするかの様に、2人を見る。
「疲労している馬よりも、お前だな。女。」
ビランバはレイに飛び掛かる。
レイは身構えるが、次の瞬間にはビランバの姿は消えていた。
「!?」
「取り立ては絶対だ。」
ビランバの腕が、レイの背に突き刺さる。
「きゃああああああああ!?」
ビランバは、レイから二つのコアを引き抜くと、再び柱の前に立ち塞がる。
コアは彼の瘴気に触れた瞬間爛れた様に溶けて行き、最後は消えてなくなった。
「はぁ…はぁ…ぐ…うう…」
剣を杖に、レイは立ち上がる。
彼女にはまだソウルコアがある。
レイはまだ、戦えた。
「カオペちゃん…逃げて…」
『何?』
「早く!」
長年の戦闘経験が、レイに警告している。
あのビランバは普通じゃ無いと。
「ほう。中々カンの良い詩姫じゃ無いか。」
ビランバの腰には、ビルドドライバーが現れていた。
「剣士でも無いのに剣を使い、詩姫の癖して我々を此処まで追い込んでくれた。お前は異質で、危険だ。」
ビランバは何処からか取り出したソウルコアをマッスルギャラクシーフルボトルに変え、蓋を回す。
"[マッチョ!][フィーバー!]"
「今此処で排除する。」
ボトルがビルドドライバーにセットされる。
"[マッスルギャラクシー!]"
快活な音楽が鳴り響き、ビランバはドライバーのハンドルを回す。
"[ブラ!][チャオ!][ブラ!][チャオ!][ブラ!][チャオ!]"
「負ける訳には行かない。いや、負ける気がしないな。」
"[Are you Ready?]"
「変身。」
スナップライドビルダーにてハーフボディが形成され、そこにEV-BHライドビルダーが割り込むことで一つのフォームが完成する。
"[[銀河無敵の筋肉ヤロー!クローズエボル!]]"
"[パネーイ!][マジパネーイ!]"
変身が終わるや否や、ビランバ、もといクローズエボルは、早足でレイに迫る。
『待て!俺が戦う!』
「疲労状態は、」
クローズエボルはカオスぺガサロスをひと蹴りする。
『がっは!?』
カオスぺガサロスはそのまま、遥か後方まで吹き飛ばされた。
「黙っていろ。」
「カオペちゃん!」
クローズエボルはレイへと向き直る。
「お前は死が怖いか?」
「…私は、消えない。」
レイは二本の剣を構える。
「…愚かだ。」
クローズエボルは、ドライバーを二回回す。
"[クローズサイド!]"
クローズエボルは、実体の無い龍を纏ったアッパーを繰り出す。
レイはそれを剣で受け止めたが、その衝撃は強く、後退した。
クローズエボルはその隙にハンドルを4回回す。
"[エボルサイド!]"
クローズエボルは、ブラックホールにてレイの背後に転移する。
「く…」
「終わりだ。」
クローズエボルの拳がブラックホールを纏い、その引力によってレイは完全に拘束される。
そのままレイは、ブラックホールを纏った一撃を背に受け、レイは柱側に吹き飛ばされ倒れた。
レイの姿が光を放ちながら、朧げになっていく。
この時点で破壊状態は成立したが、クローズエボルの攻勢はまだ止まなかった。
「私は…消えない…」
「まだ言うか。」
クローズエボルはドライバーのハンドルをぐるぐると回し続ける。
"[ダブルサイド!]"
クローズエボルは、二種類のオーラを纏いながら飛び上がり、渾身のライダーキックを繰り出す。
マッスルギャラクシーフィニッシュ、クローズエボルの必殺技だった。
抵抗する術も無いレイはただ、それを見ていた。
その目は最後まで澄んでいて、最後まで、光を失っては居なかった。
「私たちは勝つよ…この思いがある限り、絶対に!」
「…嫌いなんだよ!お前みたいな奴が!」

(ごめんね、みんな…ごめんね…ジャンヌ…)
除去の王たる除外によって、レイはこの世から跡形も残さずに消え去った。
残ったのはボロボロの軍服と、埃一つ付いていないジャンヌから貰った人形、そして一本の剣と、
「あなただけは…許さない!」
トワイライトファンタジアX・転醒化身だけだった。

◇◇◇

「え…(絶望)」
最初に気付いたのは、詩姫と深い繋がりを持っていたリリだった。
「どうしたんですか?リリさん。」
「…レイが…死んだ…(呆然)」
「…………は?」
次にその事実を知ったのは、ジャンヌ・ドラニエスだった。
「…カオスぺガサロスが危ない(状況分析)!ラムディエル(出撃命令)!」
リリが指令を出す頃には、ラムは既に飛び立っていた。
「うあああああああああああ!!!」
泣きながら、飛んで行った。
「嘘よ…レイさんは…大切にしてくれるって…約束してくれて…」
「…ジャンヌ…(同情)」
「レイさんが消える訳が無い!」
ジャンヌはそれだけ言い残すと、指令室を飛び出して行った。

(嘘よ!わたくしは絶対に信じない!あんなに強いレイさんが負ける訳、消える訳無い!きっと何かの間違いよ!絶対にそうよ!レイさんはきっと…)
廊下の向かい側から、ラムディエルが戻ってきていた。
その横には疲弊したカオスぺガサロス、その手には、汚れ一つ付いていないレイさん人形があった。
「ラムさん、それ…」
「…レイ将軍は、除外されてた…クローズエボルのコアシュートで…」
ラムはそう言って、ジャンヌに人形を返す。
「レイさん…あ…あああ…」
長い間懐に入っていたため、人形にはまだかすかにレイの体温が残っていた。
「うわあああああああああああああああ!!!!!!!!!!あああああああああああああああ!!!!!!!!!」
泣き叫ぶジャンヌ。
ラムは居てもたってもいられなくなり、すぐそばの廊下の窓を開け、再び飛び立った。
「レイさあああああああああああああああああ!!!!!!」
ジャンヌの声は、要塞のほぼ全ての場所に響いた。

◇◇◇

「は!や!たああ!」
受肉したトワイライトファンタジアXが、クローズエボルと戦っている。
「転醒化身風情が…しつこいんだよ!」
クローズエボルの右ストレートが繰り出される。
「きゃああ!?」
BPではクローズエボルに遠く及ばないトワイライトファンタジアは、次第に押されていった。
「…レイ…お前は、レイの仇!」
「はぁ…主が主なら、剣も剣だな。」
クローズエボルは大技を繰り出すべく、ドライバーのハンドルを回す。
その時だった。
「うがああああああああああ!」
閃光の如き速さで突如飛来してきたラムディエルの大槌が、クローズエボルに直撃する。
「だは!?」
フォームは半分ほど砕け、中のビランバが若干露になった。
「今よ!トワイライトファンタジア!」
「はああああ!」
お互いLv3同士。
トワイライトファンタジアがBP12000なのに対し、今のクローズエボルは-10000が入りBP10000。
「クソ、この俺が、こんな連中に!」
トワイライトファンアジアの一撃が、クローズエボルを両断する。
「ぎゃああああああああああ!…があああ…ははは…」
クローズエボルは光を帯び始める。
破壊待機状態である。
「はは…コンバットトリックか…やられたな。だが、この程度で戦況は覆らない。グッドスタッフの良い所はな、後続が幾らでも居る所なんだよ!はっはっはっはっは!あーっはっはっはっは!」
クローズエボルは、そのまま爆発した。
「…レイ将軍…グスッ…」
ラムは泣きながらハンマーを構える。
「グス…レイ将軍…絶対に、勝ってみせるから…待ってて…はあああああああ!」
ラムは一点を削る。
するも絶甲氷楯がバーストとして発動したので、柱のライフを三つ残してこの攻勢は幕を閉じる事となった。
「…雨?空も泣いていると言うの?」
トワイライトファンタジアは天を仰ぐ。
大海原を形成できそうな程の巨大な水塊と、禍々しい巨大な白鯨が、今まさに大地に降り掛かろうとしている所だった。
「あれはまさか…ディザ」
トワイライトファンタジアがそう言い掛けた所で、二人は全てのコアを押し流され消滅した。

◇◇◇

ディザイアタン出現により、自軍は壊滅的被害を受けた。
トワイライトファンタジアの残したライフにより何とかその場は持ち堪える事が出来たが、次の攻撃を持ち堪えれる余力は、もう無い。
「…駄目ね、完全に詰みだわ(諦め)。」
リリは諦めた様に呟き、椅子にふんぞり返った。
敵の使う迎手段が絶甲冰楯と覇王爆炎撃だと言う事が判明している。
ディザイアタンの出現から一週間、もう考えている時間も無い。
「なあ…ジャンヌは何処だ?」
ヴァリエルは、ディアイアタンの鎮座する戦場を眺めながら聞く。
「ほっといてあげなさい(労り)。きっとあそこだろうから(推測)。」

◇◇◇

灰色の雲が覆う戦没者の霊園にて。
ジャンヌ・ドラニエスは一際大きな墓地の前に佇んでいた。
墓石には彼女が生前手にした様々な勲章の紋様が彫り込まれ、両脇にはエンジェリックフェザーXとトワイライトファンタジアXが、主を護る様に突き刺さっていた。
「…本当に、居なくなってしまわれたのですのね…」
墓石にかけられたボロボロの軍服が、壊れかけのトワイライトファンタジアが、レイの壮絶な最期を物語っている様であった。
ジャンヌはあれから一週間泣き暮らしたが、心に出来た闇は晴れるどころか、戦況に比例するかのように悪化の一途を辿っていた。
「レイさん…」
墓石にかけられた軍服が、乾いた風で虚しくなびいている。
結局最後まで、レイはアイドルに戻ることが出来なかったらしい。
ディザイアタンを止める事は出来ない。
きっとこの場所も、あと幾何の猶予も残されていないのだろう。
ジャンヌはそんな暗い確信の元、ジャンヌはぬいぐるみを供えて、その場を立ち去るべく踵を返した。
「…?」
不意にジャンヌは、視界の隅に赤く光る物を見る。
振り返ってみたが、其処にあったのはレイさん人形だけだった。
一週間が経過してもなお、ぬくもりが消える事の無かった、ただの人形だけだった。
ジャンヌは再び墓前に戻る。
人形は、また一度輝いた。
「!?」
ジャンヌは人形を抱き上げ、その後頭部に据え付けられたチャックを開ける。
中には、ソウルコアが一つ。
ビランバのコアシュートを受けてもなお、レイが最後まで持っていたソウルコアだった。
ソウルコアに触れた瞬間、指先を通して、静電気の様に、ジャンヌに"それ"が移った。
「レイさん…!そこに居たのですね…!」
それは、レイが最後に残した想いそのものだった。
「わたくしがレイさんに…!?そんなの不可能ですわ!」
【オンステージ】も【ショーアップ】も、完全に別人に成り代わる事などできない。
ローラ・ビャクランやホクト・アポロニアですら、同じチームのメンバーにしか変装できない。
レイとジャンヌは全くの別人どころか、チームも、能力も、スピリットとしての位すら違っていた。
常識的に考えれば、無理だった。
「でも…」
スピリットは、想いが形になった存在。
もしも本当の想いで願い続ける事が出来れば、もしも心の底から信じ続ける事が出来れば、或いは。

ジャンヌは深呼吸をする。
生前の彼女の太刀筋が、戦法が、身のこなしが。
仕草が、何気ない日々が、思い出が、次々と蘇ってくる。
「こんな事を言うのはただの傲慢かもしれない…でも、それでも。今だけは許して下さい。わたくしは貴女に、」
ジャンヌは、エンジェリックフェザーXを握る。
「レイさんになって見せます!」

◇◇◇

ジャンヌが要塞に戻ってきたのは、ディザイアタンが活動の兆候を見せ始めた直後の事だった。
「リリさん。話があるのですわ。」
「戻ってきて早々に、どうしたの?(疑問)」
ジャンヌはソウルコアを握りしめる。
「わたくしも、戦いたいのですわ。」
「ふーん…(流し)え?は!?(理解)」
「もう残された手はそれだけなのでしょう?」
「いやいやいやいやいや無理だって!(驚愕)相手は爆炎と冰楯を構えた化け物!(事実)仮に攻撃が通ったとしても…」
「わたくしに、考えがあるんですの。」
「考え?(疑問)」
「今はまだお話できません。ですがどうか、信じて欲しいのです!」
「ええ~…(困惑)でも…」
そんな二人の会話に割って入ってきたのは、ヴァリエルだった。
「あたしはジャンヌに賭けるぜ。」
「え?ちょ、あんた!(困惑)」
「長い付き合いだったから良く分かる。こいつはラムディエルとは違って、考え無しに行動するような奴じゃねーってな。」
自分の名を聞きつけたラムディエルも、そこにやって来る。
「何々?新しい作戦でも思いついたの?」
それに追従する様に、カオスぺガサロスもやって来る。
『お前が無鉄砲だから今負けそうになっていると言う話をしていたぞ。ラムディエル。』
「何ですって!?」
奇しくも主要メンバーが全員揃い、二人の会話はそのまま作戦会議へともつれ込んだ。
「ジャンヌ、あなた本当に前線で戦うって言うの?(確認)」
「はい。どうか一度だけ、わたくしの攻撃を通して下さい。一度だけで良いので。」
「…だそうよ、みんな。(周知)」
普段のジャンヌは、自分の意見を殆ど口にはしなかった。
そんなジャンヌが自ら作戦を立案する事など初めての事だったが、不思議と反対は出なかった。
「まあ良いんじゃない?座して死を待つよりも、最後にパーっとやっちゃった方が面白そうでしょ?」
『ふん。レイと言いお前と言い、下等系統の分際でよくもまあ我々をこき使えた物だな。…だが、少なくともレイは面白い奴だった。』
「一回だけでイイなら、今回は私もひと肌脱いじゃおうかな!(表明)」
「まあ今回はあたしの出番は無さそうだが、応援してるぜ。ジャンヌ。」
かくして一行は、本当の最後の戦いに赴く事となった。

◇◇◇

地平線の向こうに、ディザイアタンが居る。
盛り上がった水源が彼を支えており、そのせいで戦場は僅かに水が張っていた。
「ジャンヌ、準備は良い?(確認)」
「ええ。」
ジャンヌは目を閉じる。
今でもそこには、レイの後ろ姿が焼き付いていた。
(レイさん…見てて下さい…)
ジャンヌの衣服が、光を帯び始める。
「これは…ショーアップ?でもこの感じ、何だか普通じゃ…(戸惑)」
ジャンヌの衣服が光と共に、パステルカラーをベースとした軽やかな衣装に変わる。
しかしそれは、ジャンヌの衣装体と言う訳では無かった。
「え?嘘!?まさかあれって…!(驚愕)」
そこに居たのは、[スターフェス]レイ・オーバだった。
「リリさん!準備を!」
然しその声は、髪色は、瞳の色は、紛れも無くジャンヌの物であった。
「え?あ、うん!分かった!(承諾)」
ジャンヌはそれを聞くや否や、敵のライフへと向けて駆け出して行った。
これはかつて、レイが本物のアイドルだった頃の衣装。
ソウルコアを介してジャンヌに受け継がれた、レイの記憶そのものだった。
「ファラクト!」
ジャンヌは叫ぶ。
ショーアップによって手札が増えたので、ガンダム・ファラクトが起動した。
ファラクトは直ぐに発進すると、ジャンヌと並走する様にライフを目指す。
対して今のディザイアタンは疲労状態。
(行ける!)
ジャンヌがそう思った矢先だった。
天を割く様に、オメガブレードが舞い降りる。
ディザイアタンを依り代に、ついにそれは現れた。
「インペリアルドラモン…!」
パラディンモードの剣が、ジャンヌを抹消すべく振りかぶられる。
「う…」
(此処で、終わると言うのですの…?皆さんを振り回すだけ振り回して、結局は、何も…)

ジャンヌちゃん!やっほー!
(?)
一瞬、視界の隅にレイが居た気がした。
そんな幻影を咄嗟に追い、ジャンヌは僅かに右にずれる。
炎の如きエネルギーを纏ったインペリアルドラモンの剣が振り降ろされたがジャンヌには当たらず、ファラクトがその身代わりとなった。
両断され、爆発と共に破壊されるファラクト。
然しそのガンビットが動きを止める事は無く、インペリアルドラモンの関節部分に、赤い光線を照射し続けていた。
ファラクトのバースト効果は、1ターンの間永続するのだ。
「ありがとう…ファラクト。これなら!」
不意に、ジャンヌの前に一機の赤いモビルスーツが立ち塞がる。
破壊によって現れた傭兵、アルケーガンダムだった。
「しま…」
一筋の流星が、アルケーガンダムの胴体を貫通する。
「邪魔なんかさせないんだから~~~~~!」
アルケーガンダムは破壊され、ジャンヌとインペリアルドラモンの一騎打ちとなる。
『はぁ!』
バトルは、カオスペガサロスの介入によって打ち切りとなる。
『リリ!』
「分かってる!ジャンヌ、進むのよ!前に!(神技)」
リリの力の片鱗が、ジャンヌが更に前へ進む原動力となる。
「はあああああああ!」
疲労するインペリアルドラモンの横を通り過ぎ、ジャンヌはとうとう、敵のライフを視界に収める。
覇王爆炎撃が飛んできたが、その生ぬるい炎ではジャンヌの足を止める事は出来なかった。
絶甲氷壁が立ち塞がったが、その氷はジャンヌにとってはあまりにも薄かった。
「はあああああああ!」
ジャンヌの拳がとうとう、敵のライフに当たる。
いざ辿り着いてしまえばライフと言うのは脆い物で、少し力を加えると簡単に破壊された。

ベータカプセルの音がする。
ジャンヌの前には、正義を司る光の巨人。
ウルトラマンが居た。
ジャンヌは自身の胸に手を突っ込み、ソウルコアを引きずり出す。
レイより貰った、赤く輝く魂のコアを。
「レイさん…わたくしに、力を!」
ジャンヌはソウルコアを指で砕く。
そこに光球が現れたので、ジャンヌはそれを、敵のライフに頬り投げるようにして放つ。
光球は無数のパステルカラーで織り合わされた光線と変わった。
対抗すべく、ウルトラマンはスペシウム光線を放つ。
両者の光線はぶつかり合い、つばぜり合いの状態となった。
「ぐ…うう…!」
ウルトラマンは強く、ジャンヌは次第に押されていく。
(レイさん…!)

ふとジャンヌは、手の甲に温かい物を感じた。
一瞬だけ、そこにレイの手があった気がした。

「はああああああ!」
極光が、スペシウム光線を押し始める。
(レイさん…わたくしは貴女の様に…)
全てを終わらせる極光がウルトラマンを貫き、その背後にあった残り二つのライフ全てを破壊した。
(なれましたでしょうか…?)

◇◇◇

戦いは集結した。
居なくなったレイ・オーバの代わりに、臨時の将軍にはジャンヌ・ドラニエス…では無く、ラムディエルが就任した。
戦いの傷も次第に癒えていき、そこにはかつての詩姫学園を中心とした新たな国家が形成されつつあった。
ジャンヌは終戦後、軍を離れた。

ジャンヌはレイの墓前に座りながら一人、水筒の中身を飲む。
「レイさん…わたくしはレイさんと一緒に、この平和を見たかった…」
そんなジャンヌの背後から、一体の詩姫がやって来る。
昏睡状態より目を覚ました、ネイ・ランテイルだった。
「今日もここにいらしたのですね。」
「…もう外出しても大丈夫なんですの?」
「いつまでも寝ていてはいけませんからね。」
そう言ってネイは、ジャンヌの隣に座った。
「…レイ様と言う方の噂はかねがね聞いておりました。大変立派な方だったのですね。」
「ええ。レイさんはわたくしが出会ってきたどんなスピリットよりも、強くて、優しくて、美しくて気高くて…」
ジャンヌの視界の隅で、微かにレイの髪がなびいていた気がした。
「好きでした…」
感慨深さに浸るジャンヌ。
一方でネイは、不思議そうな顔をしながらある一点を見ていた。
「ネイ?」
「…レイ様は確か、クローズエボルによって除外されたのですよね。」
「ええ。それが何か…」
ネイも見ていたのだ。
幻影の様に一瞬だけ現れた、レイの姿を。
「スピリットは、想いが形となった存在。そして除外とは一般的に、それがそこに存在する前の状態まで戻される事を指します。」
ネイは立ち上がる。
「一度生まれる事が出来たと言う事は、もう一度だって可能な筈です。」
ネイはジャンヌを見る。
「しかもここに、レイ様の最も主要な概念を受け継いだスピリットが一人。」
レイは件のデートによって、ジャンヌが己の意思と力を託すのに相応しいスピリットだと言う事を確信した。
故にレイは、死地へと赴く際に、一筋の保険を掛けたのだ。
自分の事を本当に大切に想ってくれていた、ジャンヌに対して。
今のジャンヌは、レイとの境界が至極曖昧な状態になっていた。
今のジャンヌは、ジャンヌであり、レイ・オーバと言うスピリットでもあった。
「これ程までにはっきりと概念が残っているのであれば、もしかすれば可能かもしれません。」
ネイは、ジャンヌに手を差し伸べる。
「レイ様と言う人を、取り戻せるかもしれません。」
「!」
かつてこの世界を再構築した者が居た。
揺るぎない思いを糧に、自身の愛する者全てを再構築したのだ。
当然ただの1スピリットに、その様な事は出来ない。
しかしここには、その者の欠片がある。
その者を本当に大切に想う者も居る。
奇跡に等しい程の好条件がそろった今の状態であれば、或いは可能かも知れない。
ネイの背後に、五つのコアが埋め込まれた柱が現れる。
「もしもその意思があると言うのなら、共に行きましょう。私がお手伝いいたします。」

◇◇◇

ジャンヌは戦い続けた。
「レイさん…あああ…レイさんレイさんレイさんレイさんレイさん!レイさんレイさんレイさんレイさんレイさんレイさんレイさぁん!!!」
数多の戦場で戦い続けた。
「レイさん…待っていてください…直ぐに取り戻して見せますから!」
何度もレイ・オーバへのショーアップを繰り返した。
何度もレイ・オーバへの愛を叫び続けた。
何度もレイ・オーバへの信仰を、想いを、顕示し続けた。
「レイさん…ああ…レイさあああああん!!!」
それはかつての創造主に比べれば、あまりにも泥臭く、非効率で、不器用な方法だった。
それでもジャンヌは繰り返した。
何度も、何度も、何度も。

◇◇◇

幾年月が経過したある雪の日のだった。
戦争と次なる戦争の間の暫しの休息期間に、ジャンヌはいつもの様に幽園へと向かっていた。
「…?」
ふと、墓地へと入っていく何者かが居た。
ジャンヌは持っていた荷物も放り出し、その後を追った。
新雪に、はっきりと足跡が残っている。
その靴跡に、ジャンヌははっきりと見覚えがあった。

ジャンヌは走った。
足跡は、真っすぐとレイの墓へと続いていた。

ジャンヌはレイの墓前に辿り着いた。
そこには先客が居た。
「もう。せっかく私のなんだから、もう少し可愛く作ってくれても良かったのに。」
先客は振り返る。
「ジャンヌちゃんもそう思わない?」
ジャンヌの想いは、形となった。

デッキレシピ

リリの神託は落とさぬが吉

採用カード解説

ジャンヌとレイと剣刃

ジャンヌ、レイ、そして剣。この三位一体こそが、このデッキの核となります。

華黄の城門

黄でGBっぽいの組むなら大体入る

カードを招き入れ、不誠実な侵入者は即時の処刑を以て阻む門です。
ショーアップを持つジャンヌや手札に帰還できるラムディエルと相性が良いです。言わずもながらの非常に強力な置きドロソなので、引けたら積極的に建てて行きましょう。
クロノドラゴンやグロウ、アルケーを阻む事も出来ます。

ラムちゃん、カオペちゃん、エブリワン、星宿

内向き防御四銃士

ラムディエル
不死身の熾天使。
BP-破壊とチャンプブロックを繰り返す事で、一枚でもかなりの時間を稼ぐ事ができます。

カオスぺガサロス
何度でも蘇るさ。
防御とトラッシュ回収を兼ね備えたアクセルもさることながら、剣とブレイヴした際のパワーも凄まじく、このデッキのサブフィニッシャーたりえるスピリットです。
ただアクセルが使えるようになるのは大体中盤以降なので、序盤は城門のあてにする事も視野に入れましょう。

エブリワン
ただの防御マジックです。
きちんとレイ・オーバイラストの物を使わないと、あなたの家に詩姫原理主義政府直属の秘密警察、通称黄シャツ部隊がやってきて拘留、処罰、再教育されてしまうので気をつけましょう。
詩姫万歳。

星宿の障壁
黄色、否、バトスピの中では数少ない、防御力全振りのネクサスです。
レベル2の維持コストは決して安くは無いですが、一度使えればそれでいいので、発動後の追撃をフラッシュでいなす際の邪魔になりません。
最軽量1で出てくる4コスのネクサスと言うだけで価値があるので、今回は3枚採用しています。

強ドロソ(雑感)

火山とか知らん

リリ
偉大なる我らがプロデューサーに絶対なる忠誠を。
詩姫最強の創界神です。
ジャンヌ→レイを行うだけで神技一回分を装填する事ができ、並べば並ぶほどそのパワーは増していきます。
かといってリリに依存している訳でも無いので、メタられても割られても諦めないで下さい。
二本の剣と一体のレイ・オーバがあれば蘇る事が出来ます。

ホーリーサイン
凍れる火山よ、お前を決して許さない。
詩姫の踏み倒しは崇高な物なのだ。邪魔させはしない。

ファラクト、出る

エランくん?はて…

ショーアップ、城門、リリにホーリーサイン、果てはカオペのアクセルにラムの破壊時まで、ありとあらゆる事象に反応して現れるガンダムです。
バースト効果のお陰で不利対面相手にでもワンチャン狙いが出来たりします。ブレイヴとシナジーがあるのもgood。

補給部隊長

ヴァリエルのキャラ解らないンゴ

マジック二倍キャンペーン実施中!
マジックを撃てば打つ程、彼女はその力を増して行きます。
不慮の事故で死んだラムや、撃ち尽くしたエブリワンやホーリーサインを回収できます。カオスぺガサロスの使い回し先としてもかなりの優良物件。

回し方

序盤

正直、序盤はあまり自信無い

ネクサスを貼ったりホーリーサインを焚いたりします。ファラクトはブレイヴ元としても使えるので、ドローに添える形で展開しちゃって下さい。
手札にラムがいる時は待ちに入ってもヨシ!

中盤


このエンジンが漸くかかります。
ジャンヌ→スターフェスへのショーアップを積極的に狙いましょう。天女でも良いですが、スターフェスと天女が並んだ時がこのデッキは一番強いです。


フィニッシュ


レイさんにブレイヴ付けて叩きましょう。
もう本当にやる事はそれだけです。
無理そうならカオスペガサロスでちまちま削るのでも可です。


ざっくり有利不利(随時更新するかも)

有利
・ネクサスにあまり干渉してこない奴
・破壊、バウンスが主な除去手段の奴
・きちんとアタックによってライフを削ってく奴

場合によりけり
・アグロ

不利
・コアシュート乱用者
・ネクサスへの殺意が高すぎる奴

無理
・耐性
・アルティメット全般

要するにレイさんで防げるか防げないかです。防げない破壊、バウンスでも、下からも上からも引けるので困らない事には変わり有りません。

あとがき

今回はレイさんはいど~ぞなジャンヌが強いデッキを組んでみました。
一瞬有料記事にしようかとも考えましたが、駄文+変なデッキでは流石にあれなのでやめました。
スターアニスデッキ到着までになんとか納得できるところまで持って行けて本当に良かった…(´;ω;`)

では、今回はこの辺で。
皆さま、良き詩姫ライフを(/・ω・)/

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