見出し画像

お岩さんの目が腫れているワケ

冬ですが、怪談のお話です。
四谷怪談で有名な「お岩さん」は、なぜ目の上が腫れているのでしょうか?

1、夫に殴られた
2、ウイルス感染した
3、虫に刺された



答えは2のウイルス感染です。
諸説ありますが、お岩さんの目の上の腫れは顔面にある三叉神経第一枝領域に発症した帯状疱疹だと考えられています。帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルスによる神経と皮膚の症状です。

慶應義塾大学病院 医療健康情報サイトより

お岩さんってどんなお話?


お岩さんは日本三大幽霊のお一人ですが、お話はよく知らないという方も多いようなので、あらすじを書いておきます。
お岩さんは、元から目が見えませんでした。そして何かの感染によって片目の上が腫れて皮が剥げてしまいました。その容姿を知らずに結婚した夫は、別の女性と恋仲になり別れたいと思うようになりました。夫は友人に相談し、お岩さんの方から離縁したいと思わせるように、酒を飲みまくって暴れ女遊びを繰り返し、見事に離縁に成功しました。その後すぐに恋仲の女性と結婚して四人の子供をもうけた頃、お岩さんは別の場所で自分が騙されたことを知って姿を消します。


その後、次々に不思議なことが起こって元夫の家族が死んで行き、最後は夫も死ぬ・・・というお話です。
ちなみに、お岩さんのモデルになった実在の同じ名前の女性がいたそうですが、その女性は良妻賢母だったそうです。

帯状疱疹ってどんな病気?


帯状疱疹は、一度感染したウイルスが活性化すること原因です。
幼い頃にかかった水痘・帯状疱疹ウイルスが脊髄近くの神経節に潜んでおり、免疫力が低下した時に再活性化して皮膚に伝搬して炎症を起こします。

風邪を引いた後や、過労や睡眠不足で弱った体に追い討ちをかけるようにやってきて、発疹と痛みを感じさせます。
神経の走行に沿って発疹が出るので、体の半身にだけ起こるのが特徴です。
体の中心線を超えて発疹が出ることはありません。
また、皮膚の症状が治って表面が綺麗になってもでその領域の神経の痛みだけが何年も残ることがあります。そして、何度でも再発します。


左は帯状疱疹、右は水痘
帯状疱疹は半身にしか出ないが、水痘は全身に水疱ができる

治療は、休養、塗り薬、内服薬、点滴などです。

ウイルスは発症している間どこにいるかというと、炎症を起こしている皮膚です。発疹は赤く腫れ上がったり、小さな水膨れになることがありますが、この時腫れている部分や水疱の中の液体にウイルスがいます。

ほとんどの場合2週間程度で回復します。

帯状疱疹は人にうつるの?

帯状疱疹は、接触した人に帯状疱疹を起こさせるようなことはありません。
しかし水ぼうそう(水痘)になったことがない人と接触すると、水痘を発症させてしまうことがあります。赤ちゃん、妊婦さん、高齢者など、水痘帯状疱疹ウイルスにかかると重症化しやすい人は、水痘肺炎や脳炎になったり命を落とすこともあり、大変危険です。

実は私は20歳の頃に水痘になりました。健康な成人でも高熱が出て大変苦しかったのを覚えています。

年齢別帯状疱疹の発症率
出典:https://taijouhoushin-yobou.jp/course.html

予防する方法はあるの?


50歳になったら、帯状疱疹になる確率がグッと上がります。
帯状疱疹になったことがない人はならないように、すでになったことがある人も再発予防に、そして周りの人が水ぼうそうで危険な目に遭わないように水痘帯状疱疹ワクチンを受けてもらいたいなと思います。


50歳を過ぎたら、帯状疱疹のワクチンを受けましょう

再発の予防に役立つのは、帯状疱疹ワクチンです。2018年から日本では帯状疱疹ワクチン(不活化ワクチン)が打てるようになっており、厚労省では50歳以上での接種が推奨されています。
すでに米国では50歳以上では接種が義務化されています。
免疫力が低下しないために、よく眠り、質の良い食事をし、体を適度に動かしましょう。
そして、ワクチンの接種で帯状疱疹に備えておきましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?