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コロナ禍の夜の街の記録!「日本の水商売」

こんにちは、サカモトです。

今回はこちらの本の紹介です。「日本の水商売」です。副題も良くて、「法哲学者、夜の街を歩く」です。


副題から分かるとおり、この本の作者は、法哲学者で、東京都立大学の法学部の教授です。そんなお固い職業でありながら、スナックを中心とした夜の街に興味を持っていて、前著では「スナック研究序説」を出版しています。

そんな縁もあって、本書を出版するようになったとのことです。


本書の内容

本書は2021年から2022年にかけて、作者が全国のスナックを取材に訪れた記録です。2021年から2022年にかけてはコロナ禍で一番ひどかった時期で、もう忘れてしまったけど、何度もまん延防止やら自粛要請が出されていた時期で、夜だけでなく、昼でさえも出かけることをはばかられていた時期です。

そんな時期に目的のスナックがどんな店か紹介した夜の街がどんな雰囲気であったのかを作者が実際に足を運んで確かめ、まとめたのがこの本になります。

本当に全国を渡り歩いている

この本で紹介しているスナックの所在地は北から南までの日本全国津々浦々で、北から南まで、東京などの大都市もあれば、田舎の街まで様々である。

実際の出てくる都市名を順に書いていくとこんな感じだ。北海道札幌のすすきのから始まり、青森県弘前市、福島県いわき市、神奈川県川崎市、山梨県甲府市、福岡県北九州市、鳥取県米子市、境港市、島根県松江市、大分県別府市、静岡県浜松市、北海道新得町、帯広市、東京都北区赤羽、荒川区西尾久、東京都渋谷区、銀座となる。

これだけの街を旅して回るのはさぞかし、大変だったろうと想像する。それらの都市で実際にスナックを訪れ、取材し、どんな店なのか、ママがどんな人柄であるか、そして、ママがどんな半生を送ってきたのかを詳細に書かれている。スナックのママさんは総じて、人生が波乱万丈でとてもおもしろいのだ。

コロナ対策とは何だったのだろうか

この本の作者が夜の街を愛しているからか、コロナ対策のおかしな点をいくつも指摘している。コロナ対策によりもっとも被害を受けたのは夜の街だからしょうがない。

青森県弘前市のスナックは大規模クラスターが発生した店として、店名を公表されたそうである。狭い田舎社会で、酷い噂を流されたりとなかなか厳しかったようだ。なんで、店名を公表されなければならなかったんだろうか。

また、島根県米子市のスナックでは、ほとんどの店で、表に「一見客、県外客、お断り」の張り紙がされていたとのこと。この一見客はともかくとして、県外客お断りってよくわかりませんな。

コロナ禍の真っ最中はこのどんよりとした雰囲気や息苦しさはずっと忘れないと思っていましたが、わずか1年2年ですっかり忘れてしまうものですね。

あの当時は、大規模クラスターの店名公表や県外客お断りについては、当時はそれなりに合理的なものだと思ってましたが、コロナが明けつつある今の視点で考えるとそこまでする必要はなかったんじゃないかと思いますね。理性を失っていたとしか思えない。


と、こんな感じで、コロナ禍の真っ最中のスナックの記録として、ものすごい読み応えがあります。そういう意味でおすすめです。



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