永濱利廣(第一生命経済研究所首席エコノミスト)

第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。あしぎん総合研究所客員研究員、跡見学園女…

永濱利廣(第一生命経済研究所首席エコノミスト)

第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。あしぎん総合研究所客員研究員、跡見学園女子大学マネジメント学部非常勤講師を兼務。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会常務理事。専門は経済統計、マクロ経済分析。

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日銀の政策修正が日本経済に及ぼす影響

植田和男日銀総裁「基調的な物価上昇率、徐々に高まる」 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 日銀が「マイナス金利政策」の解除に踏み切ったことにより、経済活動の源泉である設備投資を筆頭に、為替レートや輸出入、個人消費といった経済活動に及ぼす影響が注目されます。 そこで、内閣府「短期日本経済マクロ計量モデル(2022年版)」を基に影響を試算すると、短期金利を外生的に+0.1%引き上げた場合、実質 GDP 抑制効果は引上げ年においては概ね▲0.03%程度にとどりますが、2

    • 30年ぶり賃上げでも増えなかったロスジェネ賃金

      がんばれ、新社会人! 「脱デフレ世代」に期待 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 連合が公表した今年の春闘の集計結果によれば、平均で5%を超え、33年ぶりの賃上げとなっています。また、中小企業でも4%台半ば、非正規に至っては6%越えと波及も見られており、24年度の賃金上昇が期待されています。 事実、毎月勤労統計よりカバレッジが広い厚生労働省の賃金構造基本調査によれば、2023年の一般労働者の所定内給与は30年ぶりの賃上げもあって前年比+2.1%と19年ぶりの水準ま

      • 家計貯蓄率に対する誤解

        停滞する個人消費 インフレ時代のデータの見極め方 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 昨年7-9月期の家計貯蓄率が季節調整値で▲0.2%マイナスに転じました。 季節調整値でマイナスに転じたのは2015年7-9月期以来8年ぶりとなります。 しかし、内閣府が公表する家計貯蓄率は、実際には支出を伴わない固定資本減耗も支出したものとみなされることになります。 そこで、固定資本減耗を除く前の総可処分所得を基に家計貯蓄率を計算し直すと、実際の家計貯蓄率は一般的に公表される数値よ

        • 春闘賃上げの合格ラインと中小企業の行方

          消費冷やす食品高 エンゲル係数最高、日銀は賃上げ注視 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 岸田政権は 2021年10月の政権発足以来、デフレ脱却を政権の最優先課題としてきました。 そして、岸田政権発足以前から政府はデフレ脱却の目安として4指標を重視しているとされていますが、直近2023年10-12月期時点では依然として1指標がマイナスとなっています。 具体的には、小売り段階の物価動向を示す①消費者物価指数に加えて、国内付加価値の単価を示す②GDP(国内総生産)デフレ

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          過去最高水準に乖離する企業と家計の景況感

          企業の好業績に死角 10〜12月GDP0.4%減、投資・賃金に回らず - 日本経済新聞 (nikkei.com) ●逆行する企業と家計の景況感 昨年12月調査時点で、日本の代表的な企業の景況感指標である「日銀短観」の業況判断指数と代表的な家計の景況感指標である「生活意識に関するアンケート調査」の景況感指数が逆の動きをしている。長期時系列の関係を見れば、業判断指数と家計の景況感指数はおおむね正の相関関係がある。しかし、特に22年度後半以降は業況判断指数が改善を続けてきたのに対

          過去最高水準に乖離する企業と家計の景況感

          日本のGDPがドイツに抜かれる理由

          2023年のGDP、ドイツ3位・日本4位へ 1ドル132円なら並ぶ - 日本経済新聞 (nikkei.com) 23年に日本のGDPがドイツに抜かれる主因の中でも、特筆すべきは日本の国内自給率が低下してしまったことでしょう。ドイツは2000年代以降、企業が国内で活動しやすい環境を作るために、政府当局が積極的な政策を講じてきました。これに対し、日本では円高デフレを長期間放置してしまったがゆえに、逆に企業の海外流出を加速させるような状況を作り出してきたことがあげられます。 こ

          世界標準の財政理論では「財政赤字=悪」とは限らない

          自民党・古川禎久氏「ポピュリストに財政運営できない」 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 海外において経済政策の新た理論として台頭しているのが「財政赤字の適温理論」です。 これは、財政には政府債務と財政赤字の望ましい組み合わせを示す「適温領域」が存在するとし、世界標準の財政理論では「財政赤字=悪」とは限らないことを示しています。 実際にプリンストン大学のミアン氏らは2022年の論文で、財政政策には政府債務と財政赤字の望ましい組み合わせを示す「適温領域」が存在するこ

          世界標準の財政理論では「財政赤字=悪」とは限らない

          どうなる?2024年の物価と家計負担!

          経営者20人が占う景気 インフレは2%、成長継続へ - 日本経済新聞 (nikkei.com) 24年の消費者物価を展望すれば、総合経済対策による電気・ガス・ガソリン代の価格抑制策が4月末で終了するため、特に5月分以降の消費者物価の押上要因になることには注意が必要でしょう。 ただ、足元では原油価格が70ドル台前半と落ち着いています。 24年は世界経済のさらなる減速が予想されていることからすれば、24年はエネルギー価格の低下がインフレ率の抑制要因となることが期待されます。

          12月短観から見た23年度業績見通し

          景況感3期連続改善、中小もプラス圏浮上 12月日銀短観 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 12月13~14日にかけて公表された12月短観の大企業調査は、11月上旬~12月上旬にかけて資本金10億円以上の大企業約1900社に対して行った調査であり、先日公表された法人企業景気予測調査に続いて、今期業績予想の先行指標として注目されます。 そこで今回では、同調査を用いて、1月下旬から本格化する四半期決算発表で今年度業績計画の上方修正が見込まれる業種を予想してみます。 まず

          エンゲル係数上昇の主因は実質賃金低下

          食費が圧迫、細る家計 エンゲル係数40年ぶり26%超 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 経済的なゆとりを示す「エンゲル係数」が足元で高水準にあります。エンゲル係数は家計の消費支出に占める食料費の割合であり、食料費は生活する上で最も必需な品目のため、一般に数値が下がると生活水準が上がり、逆に数値が上がると生活水準が下がる目安とされています。 そして、最近の我が国のエンゲル係数上昇は、実質実収入の減少と食料品の相対的な価格上昇が主因となっています。その背景には、明ら

          エンゲル係数上昇の主因は実質賃金低下

          経済対策の効果と所得減税と消費減税の効果の違い

          岸田首相「来夏に物価高超す所得増」 17兆円の経済対策 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 岸田首相は、17兆円の経済対策の中で所得税などを定額で4万円減税し、非課税世帯には7万円程度を給付することで、総額5兆円規模の還元を目玉政策としています。そして、17兆円規模の経済対策がしっかりと執行されれば、24年度の実質GDPを+0.6%程度押し上げられると試算されます。 この政策と正当化するとすれば、特に世界経済が40年ぶりのインフレに直面する中で、政府が税収を民間部

          経済対策の効果と所得減税と消費減税の効果の違い

          エルニーニョによる秋冬高温が経済に及ぼす影響

          3連休初日に夏日350地点 富山で28.5度、都心は24.3度 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 世界的に異常気象を招く恐れのあるエルニーニョ現象が続いています。エルニーニョ現象の日本への影響として、秋から冬の気温が高めとなる傾向があり、景気への影響が予想されます。 過去のエルニーニョ現象発生時期と景気後退局面の関係を見ると、90 年代以降全期間で景気後退期だった割合は 27.0%となりますが、エルニーニョ発生期間に限れば 44.4%の割合で景気後退局面に重なっ

          エルニーニョによる秋冬高温が経済に及ぼす影響

          年度後半以降の経済・景気のポイント

          大企業製造業の景況感、2期連続で改善 9月日銀短観 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 9月短観で大企業製造業の景況感が改善した背景には、供給網の改善等に加えてここ元の円安が寄与したと考えられます。実際、企業の想定レート調査を見ても、前回調査の1ドル132円台から135円台に円安修正されています。一方、大企業非製造業で改善した背景には、インバウンドの回復やコロナ指定感染症見直し後初の夏到来によるレジャー需要等が増加したことが予想されます。先行きについては、海外経済の

          年度後半以降の経済・景気のポイント

          日本のGDPギャップは過小推計の可能性

          新藤義孝経財相、デフレ脱却へ「望ましい状況を早く」 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 筆者は、内閣府が公表するGDPギャップは過小推計、すなわちGDPギャップがプラスに転じたとしても、真の意味での需要不足は解消されていないと考えています。  その理由は以下のとおりである。 ① 潜在GDPの試算において、供給力の天井ではなく実績値に基づく過去のトレンドが用いられている。このため、推計期間の直近に近い時期に需要の大きな落ち込みが起こると、潜在GDPの試算値には下

          日本のGDPギャップは過小推計の可能性

          経済の「サプライサイド強化」に対する誤解

          経団連・十倉雅和会長「格差問題、分厚い中間層を再構築する」 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 伝統的な成長会計に基づけば、一国の潜在成長率は潜在的な労働投入量と資本投入量と生産性の三要素によって規定され、短期的な需要の変化に左右されないとされます。しかし、バブル崩壊や金融危機などにより需要の低迷があまりにも長引くと、企業の設備投資の慎重化などにより供給力に悪影響を及ぼします。逆に強めの需要刺激が続けば、雇用の増加や賃金の改善に伴う企業収益の改善を通じて設備投資の回

          経済の「サプライサイド強化」に対する誤解

          金融政策と日本経済の今後

          日銀・中村審議委員、YCC柔軟化「今でない」と反対 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 日銀が7月末に行った「政策修正」 の評価は、今後の日銀の対応に大きく左右されるでしょう。あくまで金融緩和の持続性を高めるための対応として、物価目標の実現を見通せる状況になるまでしっかりと国債買い入れオペ等でイールドカーブの抑制を続けるのであれば評価できるでしょう。しかし、この修正が出口を意識したものであり、将来拙速なマイナス金利解除に向かうのであれば、せっかく動き始めた好循環を阻