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あなたの常識は世間の非常識(標準仕様を蹴っ飛ばせ)

もしあなたが身長2メートル20センチで、家族も全員2メートルを超える高身長だとしたら、注文住宅を建てるときに「ドアは192センチが標準なので、すべてのドアを192センチにしますね。通るときにはちょっとかがんてください」なんてこと言われても困りますね?


あなたの生活の完全な理解者はあなた自身です

HMのプランナーが、工務店が、設計事務所が「こんな間取りが一般的です」と図面を出してきても、また「こんなオプションが人気です」と勧めてきても、「こんな仕様が価格と性能のバランスがいいです」と説明してきても、それがあなたにフィットするかどうかなんて、あなたにしかわからないのです。

ならば標準仕様の意味はなんなんでしょうか。
すなわち、標準仕様とは「建てる側から見て普通はこういう感じですからこういう仕様ですと変更の手間も費用も要らないし建てるこちらとしても助かります」というようなものです。多くの人に支持されるようなゆるいおすすめ、くらいのもので考えるといいでしょう。
では「あなたの標準仕様」はどんなものでしょうか?
ご夫婦でも寝室が別の方がいいとか、子供部屋は無くして大きなオープンスペースで子育てしたいとか、夫婦ともに仕事を家でやることも多いのでそれぞれに個室の書斎が居るとか、楽器演奏のための防音室が必須だとか、天体観測のための屋上が欲しいとか、お風呂はシャワーだけあれば十分なんだとか、その家族にはそれぞれの生活がありそれぞれの流儀があります。
なのに誰ともわからない誰かが標準的に住まう標準的な仕様から考えていくなんて。

洋服のオーダーも、パターンオーダーとフルオーダーがありますね

オーダーメイドの洋服をあつらえる時に、日本人の平均的な体型から作った標準的な型紙をベースにして「あなたの身長は標準より大きくしないといけませんね、逆に胴回りは少し縮めた方がいいようです……」などとやるでしょうか。人の体かたちはそれぞれ違うのですから、標準からどのくらい変えるかではなく、ゼロから採寸してフィットするものを作るでしょう。
洋服をあつらえるときは、数値化できますから職人さんに採寸を任せればピッタリの数値をはじきだしてくれます。住宅の場合は、HMや工務店の設計士が、あるいは設計事務所が、あなたにぴったりの家を設計してくれるでしょうか? あなたの生活に過不足のない仕様を提案してくれるでしょうか?
洋服のオーダーであれば、採寸だけして貰えば、例えば礼服ですと指定すれば布地からからボタンから襟からベントやタックやその他もろもろを上手に決めて作ってくれるでしょう。でもそれって、パターンオーダーみたいなもの。洋服についてあらゆる面から勉強すれば、ゼロペースから、布地に始まりあらゆる点で職人と意見を交換してながら決めていくことができます。
家も同じこと。しっかりと勉強することで、ゼロから設計士と意見を交換しながら決めていくことができます。そして大事なのは、洋服の場合には体にフィットさせるための採寸は職人さんの仕事でしたが、家づくりの場合、あなたにフィットさせるための採寸に当たる部分はあなたがやらないといけないということです。

あなたの正義は他人の驚き

例えばこんな事例があります。ずいぶん前にどこかのブログだか本だかで見たんですが、詳細は忘れてしまったのですが間取りがおかしい……
玄関がガレージの中にあります。そもそもガレージはゆうに2台は収納できて、さらに油圧ジャッキという整備工場にありそうなものが設置されていました。そして玄関から屋内に入るとまず最初の部屋にカフェさながらのオープンキッチンとカウンターテーブルがあり、ガレージとの間の壁は全面ガラスでした。その奥へ行けば、通常の生活空間がありました。
ご夫婦ともに車のレースが好きでアマチュアながら参戦しているそうで、またワイワイやるのが好きなので、ということでこんな間取りになったのでしょう。

また別の例ですが、組み立て式のログハウスを輸入して、セルフビルドで建てたという人に会ったことがあります。完全なワンルーム、玄関を入るとそこには広大な玄関兼居間兼台所兼食堂兼寝室みたいな空間が広がっているそうです。ところどころ柱は立っていても、壁は作らなかったそうです。夏は暑くて冬は寒いよ、と笑っておられました。

と、ここまで突飛なものを好む人というのはなかなか居ないと思いますが、どんな人でもそれぞれに「ちょっと他人と違う」ところがあると思います。そのいろんなちょっとを、それこそちょっとずつうまく吸収してくれるのが標準仕様というようなことになるのだろうと思います。
しかしゼロベースで考えたら。
あなたのちょっとした好みは、他人にとってどうでしょうか。ぴったり同じ? そんなことはありませんよね。ちょっとした好みだからそこはガマンして他人と同じにしようか、それが標準仕様。ちょっとした好みをちゃんと反映させて、標準からはみ出してつくるのが本当の「注文」住宅です。
だからあなたの正義を貫きましょう。それは他人にとっては驚きのチョイスだったとしても。

家を建てるときに「こんなのおかしいんじゃないか」という気持ちになる人へ

ベランダが無い家なんておかしいんじゃないか。
建坪30坪の家で3部屋しかないなんておかしいんじゃないか。
平屋で屋上をつくる家なんておかしいんじゃないか。
家全体を防音仕様にするなんておかしいんじゃないか。
2階建てなのにホームエレベーターなんておかしいんじゃないか。
壁紙をぜんぶ赤系で統一するなんておかしいんじゃないか。
トイレは家族の人数分、だから4つつける、なんておかしいんじゃないか。

ぜんぶ、他人からすれば驚きのチョイスでしょうね。でもあなたがそれを望むなら、それは正義なんです。そして、それを実現するのが注文住宅なんです。
多くの人は、洋服だって髪型だって好きなアイドルだって食べ物の好みだって、なんとなく周りと似通ったチョイスをしてしまいがちでしたでしょう? まだ好みが確立してなくて、自分自身の選択に自信が持てなかった頃の話です。
人は成長してひとりひとり全然違うものになっていきます。価値観が確立し、自分のチョイスに自信を持ち責任があることを自覚するからです。
カントはこう言っています。
「成功に至る第一歩は、 自分が心で何を望んでいるかを 見つけ出すことです。 それがはっきり分からないうちは、 何を期待しても駄目でしょう。」
注文住宅は、まさに自分が心で何を望んでいるかを見つけ出すことが、成功への近道でしょう。


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