見出し画像

トマトケーキができるまで

キャロットケーキの人気、ここ数年凄まじいですね。キャロットケーキ好きインスタグラマーさんが日々お店を紹介していらっしゃるし、それを見ていると、世の中にこんなにキャロットケーキの店があることに驚きます。

私も多分に漏れずキャロットケーキが好きですが、きっかけは多分横浜のブラフベーカリーのものを食べたこと。多分10年以上前に食べたと思うのですが、あそこがブームの火付け役なんじゃないかと思います。

海外ではベイクショップはもちろん、スーパーやコンビニにも売っているからあれば買ってしまう。タイのスターバックスで食べたキャロットケーキもおいしかった。そんなわけでわたし自身好きなので、doyoubiでもキャロットケーキをオープンしてから作り続けています。 

私の好みに合わせて変遷はありつつ、今のキャロットケーキは、にんじんを粉よりも多くいれたにんじん感たっぷりの味。生地はどっしりしっとり。後味は軽やか。甘さとスパイスは控えめだけど感じられる程度。具材はごろごろ入っているより、今は生地が好きなのでところどころくらいが好み。

で、本題はキャロットケーキがなぜこんなに人気なのか?ということ。

このままブームのキャロットケーキを作り続けるよりは、キャロットケーキみたいに愛される別の野菜ケーキを作りたいなと思い、人気の理由を整理することに。

・ケーキなのにヘルシーな気がする(実際、にんじんたっぷりなのでヘルシーではあると思います)
・見た目が焼き菓子と洋菓子の中間のようでどちらを食べたい時にも良い

・スパイス好きに嬉しい

にんじんを使っているからヘルシー、なんとなく身体に良いことしている気がするという、お菓子を食べる時の罪悪感を払拭してくれる部分が大きいと思うのですが、

もうひとつ大事な要素は野菜の中でも「にんじん」だからなのかなと。

例えばこれが大根や小松菜だったらそこまで人気は出なかったはず。日常から少し遠いというか、みんな大好きな定番野菜というには少し存在感が薄いから。(大根、小松菜農家さんごめんなさい。もちろん大好きです)

かぼちゃやさつまいもだと、甘い野菜=スイーツ向きという印象が定番すぎておもしろみがない。

誰もが知っていて、野菜界の中でも特に身近。それはつまりカレーライスの野菜になるくらい身近。

かつそれがケーキ(甘い)になることに意外性もあり、
でも、味が想像できなくはない(なんとなく甘みがあるから、ああなるのかな、というイメージがぼんやりできる)から、
多少保守的な方でも手を伸ばしやすい親近感があること。

そんな知ってると知らないのバランスがちょうど良い野菜。にんじんはそんな意味で唯一無二の存在なのではないか?と思いました。

それで、そんな野菜って他にあるかなと考えた時に浮かんだのがトマトです。

トマトはにんじんと同じくらいの定番野菜で、人気者。かつ、甘みもあるからケーキになったときに受け入れやすそう。けれど、ケーキになることに意外性や物珍しさもある。

そんなわけでトマトケーキが生まれました。

どうせ作るならとにかく「トマト」感を出したかったので、トマトの果肉はざくざく大きく刻んでそのまま入れ、果汁もたっぷり。

果肉と果汁を合わせると小麦粉とほぼ同量になります。

大事にしたかったのは、トマトの青い香りを潰さずに残すこと、だけど塩味やチーズの香りでごまかさず、ちゃんと「甘い」(ケークサレではない)ケーキに着地させること。

キャロットケーキ好きに応えてスパイス感を効かせるなら、トマトを消さずに引き立てるスパイスをほんの少しだけ入れて。これは私の中ではコリアンダー1択でした。

キャロットケーキといえば中に入れるドライフルーツが楽しみの方もいると思います。
レーズンやパイナップルなど色々ありますが、合わせたかったのはレモンピール。

多過ぎずほんのり感じる程度に入れていて、トマト感たっぷりの生地の所々にレモンが香ると、その存在感が引き立ってよりおいしく。

フロスティングには、フレッシュバジルを刻み入れたクリームチーズを。これはトマトケーキを作ろうと思い立った時、まず頭に浮かんだ組み合わせでした。

単体だとシンプルなトマト味のケーキですが、
ここにバジルクリームチーズをつけると一気にケーキの様相が変わり、マルゲリータを食べているようなイタリア料理の装いになります。

存在としてはあくまでケーキ。でも、ちょっと気の利いた料理を食べているような気持ちにもなる。

と言いつつ、優しい味わいだから、風邪を引いた時なんかにも食べたくなる。さっぱりしていてするする口に運んでしまう。

そんな面白いケーキができました。

この夏はたくさん焼いていこうと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?