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小噺

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嘘と解釈と事実
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#雑筆

「でもお前すぐブランコとか乗るじゃん」

 アスファルトが湯気を立てそうなくらい暑苦しい八月に正気を保っていられるなんて、狂気その…

野原
11か月前
11

「退日」

ロッシュ限界 惑星や衛星が、破壊されることなく近付ける距離の限界のこと。 *  あの日か…

野原
1年前
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「蜜月トロイカ」

鞭もつ手で涙を 馭者はおしかくし これでは世も末だと 悲しくつぶやく *  どうして、来…

野原
1年前
7

「謎なんぞ、なぞ」

「ねえ、なぞなぞしない?」  佐登瑠夏、僕の婚約者はいつも急だ。    一番驚いたのは付き…

野原
2年前
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「メンバーがいません」

 どうしてって、偶々、と答えるしか。  ねぇだから、なんにでも答えが必要なの、それは無責…

野原
2年前
8

「被害者行進曲」

 ダンダラダンダン、ダンダラダンダン。  小気味良いリズムに、歩を鳴らして歩く。  脳内で…

野原
2年前
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「段差」

 何もないところで躓く、段差があれば猶のこと躓く。しかし人間の修正能力とは偉いもので、その度に身体の芯を鉛直方向に直してくれる。おかげで今日も僕は、アスファルトの味を知らないままでいる。  果たして他の人間達はどうやり過ごしているのか、観察してみることにした。人生のライフハック*1として、分からないことは観察によって凡そ解決される。例えば、社会性が高い人間の動画を視聴すると、引っ込み思案が一時的に治るらしい。この世は言語化されていない情報で満ちているため、社会性が高い人の振

「弓晴」

 叢雲が月を覆い隠すように、私の心中は曖昧さを極めていた。紅茶に注いだシロップが、溶け残…

野原
2年前
8

「耳鳴」

 キーンという音が、1日鳴り止まなかった。  始めは電子機器が壊れたのかと思って、部屋中を…

野原
2年前
10

「才覚」

 夏が憂鬱を連れてくるのではない、夏が憂鬱そのものだった。太陽を忘れた肌が白く透けるよう…

野原
3年前
2

「おまえのエンドルフィン」

 最初に、以下の文について、一切の論理性のない事を断っておく。読み進めるは、大海をサルベ…

野原
3年前
7

「東京」

 何処へ行っても、煩わしい程に人。「自粛」「死ね」「別れろ」その構成要素たる我が身を棚に…

野原
3年前
24

「口紅」

「本記事は、ある人の散文(或いは詩)を元に、私が独自の解釈を交えて物語化したものです。最…

野原
3年前
9

「命日」

 抜けるような夏の青空が、頭上に広がっている。どこまでも深い青なので、宇宙は青色をしてるんじゃないかと思った。 それを我が物顔で独り占めする伊織は、ケラケラと笑う。 「実は今日、死んできました」その顔は生命に溢れていて、僕は彼女の命日を、彼女と祝うことにした。  病院の屋上、辺りは簡素な手摺りで囲われていて、そこには何かの残骸らしきビニール紐がひらひら揺れている。周りを見ると、片手だけの軍手やコーラの空き缶といった、人の痕跡が散らばっている。  僕は手摺りの向こう、パラペ