糖質制限でも筋グリコーゲンに不足無し

(4年前に某所に自分で書いた記事のコピペです。)

人によっては、かなり気になるトピックではないでしょうか。

Doctor's Eye Medical Tribune に、つい数日前、北里研究所病院糖尿病センター センター長 山田悟先生が、以下のような記事を投稿されました。

「運動前には糖質をたっぷり摂れ」は嘘だった

論文原文
http://www.metabolismjournal.com/article/S0026-0495(15)00334-0/fulltext

上記の記事を要約すると

まず、この研究はスーパーマラソンやトライアスロン選手の横断研究であり(横断研究って?という方はこちら )、彼らを、普段からカーボローディングを行っている人(ハイカーボ=HC群)と、普段からケトン産生食を行っている(ローカーボ=LC群 )に分け、比較しています。尚、ここでの糖質摂取量は、ハイカーボで486±128g、ローカーボが82±62g、エネルギー比率が、約6割と1割ということで、しっかりハイ&ロー、ですね。

そして、HC群、LC群に運動持久力の差は無く、また運動前,直後,2時間後の筋肉内グリコーゲン量にも差は無かったということ。ちなみにここでの運動、とはトレッドミル走行。消費するエネルギー基質には差があり(糖を使うか、脂質を使うか)、HC群が56%脂質を利用しているのに対し、LC群は88%。

結果、運動するからって、糖質摂らなきゃいけない、ってわけではないですよ、という山田先生の見解。

○今井の感想と考察
まず、驚くのが、日常的にケトン産生食である人がこんなにもいるのかということ。しかもスポーツ選手で。日本は遅れていますね。

そしてこれ、ケトーシスになっているのかどうか、がかなり大きいですよね。中途半端に糖質摂ってたりするとこういう結果にはならなかったでしょう。

ボディビルに置き換えて考えてみると、しっかり脂質摂取量を確保できていれば、いくらシビアに糖質制限を行ったところで、しっかりトレーニングは行えるし、普通にパンプもする、という経験は、正しく行っている人であれば、皆していますし、それほどビックリはしないのではないでしょうか。

ただ、ウエイトトレーニングに関していえば、パンプはするが引きがかなり早いし、それこそフルカーボアップした際の、皮膚がはち切れそうになるほどパンパンに膨れ上がるレベルには到達しません。これは被験者の筋肉量や、トレッドミル走行とは消費エネルギー基質において大分相違があることが理由になっていると推測できるわけですが、血中ケトン体の量や変動も是非知りたいところですね。糖新生により筋グリが回復し、トレッドミル走行のような運動形態では、それが削られない、ということはわかりましたが、ウエイトトレーニングであればもう少しロスがあるはずです。

これ、ワークアウトドリンクの最適組成のヒントになってきますね。

あとは、筋発達に焦点を合わせた研究も行って欲しいものです。インスリン分泌が少なければ、当然AKTの活性化やmTORC1からp70s6kのリン酸化は起こりづらいはずですが、感覚的には、糖質無くたって普通に発達しますよね。現段階では、ゼロカーボをベースとして、カーボアップやゾーンダイエットを組み込むサイクリカル・ケトジェニックダイエットを推奨していますが、もしかしたら、期分けの目安日数などに、もっと効率の良い方法が見つかるかもしれません。

また実は昨年、コンテスト直前の調整に、ファットローディングを複数名に処方しました。これに関してはまた別途書きますが、どの方も反応は上々だったものの、ある程度長期的にケトジェニックダイエットを行っていないと効果が出ないという感覚があり、直前にアドバイスを求められた方には普通にカーボローディングと浮腫まない手立てを説明させて頂きました。今回の研究では、「普段からケトン産生食を行っている人」を被験者としていましたが、ケトン産生食を始めてどのくらいでグリコーゲンの回復が起こるのかも知りたいところです。

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