レバレッジバランス型ファンドの基準価格下落。何故商品間で差が出たのか?

A. リスク分散。静的リスク分散のみのシンプルな運用商品は大下落,動的リスク分散によって資産規模を小さくした商品は小下落。

一月のイランとアメリカの緊張時,当時見習いクソザコトレーダーだった私は株価が下がる一方で,ウキウキ気分でいた。

金の値上がりだ。1970年以降ずっと上がってきていた金の値段がついにピークを迎えようとしているというニュースを聞いて,貴金属店に祖父の形見である1/2ポンド金貨を売りに行っていた(金の値上がりもあるが,卒論執筆からの現実逃避行動でもあった)。

私は金の値段を逐一チェックするために,金連動型のETFの値段と一日中にらめっこしていた。その時知ったのは,株式の価格が下がれば,金と一緒に債権の値段も上がっているということ。安全資産だ。

イラン騒動のように今までは原則,株式価格と債権価格は逆相関すると言われてきた。株式価格が下がれば,投資家はリスクではなく安定を取る。

リスクを分散して,長期的な成長を目指す投資信託では,リスクと安全2つの商品を買って,市場の荒れによる資産のガタ落ちを防ぐことは必須。

このリスクバランス分散に,先物取引(レバレッジ)による資産規模拡大を掛け合わせた,通称レババラ(レバレッジバランス)型の商品で大人気だったのが日興アセットの3倍3分法ファンド。

以下引用(ⅰ)。

  「3分法」は株、不動産(REIT)、債券の3資産にお金を分散投資するという意味だ。資金は、リスクとリターンのバランスを最も効率化できると日興アセットが考える、株式20%、REIT13.3%、債券66.7%の比率で配分する。これに3倍のレバレッジをかければ、投資元本100%に対し、株式60%、REIT40%、債券200%に持ち高を膨らませることができる。株とREITに計100%を投じて期待リターンを高めながら、債券にも200%を投資してポートフォリオ全体のリスクを抑える算段だ。

引用終わり

 しかし,だがコロナショックに乗って市場では株式と債権同時に売りが大量に出た。両者の逆相関を使ったリスク分散を組み込んでいたため,両者のダブル下落に対応できなかった。

 一方で,レババラ型ファンドでも野村ダブル・ブレインは下落率を抑えた。これは,市場の動きを常に監視し,両者の下落に合わせて,レバレッジによる資産規模を縮小したからだ(ⅱ)。

 日興アセット三倍三分法ファンドが資産構造のバランスによる静的リスク分散だとすれば,野村ダブル・ブレインは市場に合わせてレバレッジの幅を動かす,動的リスク分散と言える。

 ただ,後者が優れているというわけではなく,日興アセット三倍三分法はこのような常時の観察による人件費が少ないため,投資家の配当金割合が高いという利点もあるし,日経平均株価が上昇している,市場が安定しているときは三倍のテコ入れによって基準価格も膨らむ。

 ライン証券から楽天証券に乗り換えてから商品を買うタイミングを見つけられない僕だが,いつまた投資を始めようか。

参照

ⅰ)https://r.nikkei.com/article/DGXMZO57906750Q0A410C2I00000?type=my#IAAUAgAAMA

ⅱ)道場


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?