みんなはどうやって同人してるんだろう

私は非常にゆったりとした性格です。

TLに流れてくる素敵なイラストを見て、なろうで小説を読んだりして‥ぼんやりと、それでも毎日仕事頑張ってるし良いかな〜という感覚で暮らしていました。

転機が訪れたのは4月。

新入社員の方々が入社してきました。先輩である私は、とある新入社員の方の担当となり、業務を教える立場となったのです。

お恥ずかしいことに、転職を繰り返していた為 あまり先輩という立場になる経験がなく、とにかく仕事に興味を持ってほしい!‥あわよくば良好な信頼関係を築けたらいいな、と考えていました。

きっかけは新人さんの「先輩さん、ヒプマイって知っていますか?自分は曲だけ聞いてるんですけど伊弉冉一二三の新曲よかったですよ」という一言です。

新人さんが来て1ヶ月‥研修の期間を含めるとほぼ一週間ほどしか関わりがなく、何でもいいから取っ掛かりがほしい!そしてあわよくば仲良くなりたい!という下心がありました。

そういった経緯からGWの5月2日 私は(検索して存在を知った)伊弉冉一二三さんという方の新曲「パーティーを止めないで」を視聴したのでした。


一曲リピートで音楽を聴く習慣があります。

気がつくと、既に数時間が経過していました。慌ててイヤホンを取ると全身から水分が抜け落ちるような‥経験のない、泣くという表現すら怪しい‥不審者と呼ぶに正しい形相になっていました。外だったら確実に通報されていた‥初めて一人暮らしであることに感謝しました。これは一体どうしてか?わかりません‥

未だかつて経験のない何か。しかし、この大号泣は ほんの始まりに過ぎなかったと思い知ることとなるのです。

私は趣味でたまに絵を描きます。

とは言うものの年に2枚とか‥それくらいのペースです。中には未完成のまま放り投げるものも多く、完成すること自体が稀であり 走り描きも含めて16枚とか‥そのくらい溜まったら本に纏めることもありましたが、あくまで描き終わった絵を入稿しているだけで締め切りに追われたことは人生で一度もありませんでした。

本が届いて、その時出れそうなイベントに出る‥そもそも出ずとも毎日のように素敵な作品が流れてきます。ぼんやりとイベントに参加する私には、極道入稿と呼ばれるものをされている方‥なんとしてもこのイベントに出たい!という方の心境はあまり理解することが出来ませんでした。


パーティーを止めないでという楽曲を聴いて数日が経過し、私は焦りを感じていました。

日に4枚のペースで絵を描き続けているのです。全て伊弉冉一二三さんのイラストです。どうしてかは未だ分からず、何かが起こっている‥という 自分のことなのに制御できない衝動に対する恐れだけがありました。

慌てて私は意見を求めます。当家には漫画や文字打ちの出来る環境がなく、しかし未曾有の危機なのです。なりふり構って居られずマッキーの枠組みにテプラでビー、ビー、と文字を出力して無理くり形にし、ネットに載せました。「このままでは死んでしまうかもしれない。オタクの皆さんはどうしていますか?」と。

私のようなぼんやりとしたオタクはさておき、歴戦の猛者である先駆者の皆さまは「なにやも知れぬ衝動に憑かれ殺される」恐怖への完全回答なるライフハックを必ずしもお持ちだと思ったのです。

‥この広いインターネット。必ず解決策があるのだろうと‥

ありがたいことに私のテプラによる救助要請は想像以上に多くの方に読んでいただくことが出来ました。RT先や、ありとあらゆる反応先に飛び この謎の衝動から逃れる術を必死で‥本当に探し回りました。しかし‥なぜか‥どの方もこうおっしゃるのです「気が済むまで描くといいよ」と。それ以外の道は無いと。

私は絶望しました。手は勝手に伊弉冉一二三さんを描いています。私の手なのに‥勝手に動き回っている‥どうしたら成仏できるのか?この時期から考えるようになりました。

口からは「パーティーを止めないで(この辺りでファンの方からパ止めという愛称で呼ばれていることを知りました)という曲は素晴らしい曲です!」と声に出ています。手も口も、私の支配下から外れていきました。耳はパ止めを聴いています。誰かー!脳の絶叫を聞きながら暮らすようになっていきました。

全身がバラバラ。私が魔王であれば勇者に降伏し、命乞いをしていました。悲しいことにただの会社員である私の命乞いは鉄筋コンクリート造の壁に呑み込まれて消えていきます。この炎のような衝動は次第に強さを増していくのです。

知っていました。成仏したい‥楽になりたい‥それらの感情の根源を。パ止めという曲や、伊弉冉一二三さんのことが堪らなく好きで。彼の幸せを祈りたかったのです。一目惚れでした。

GWが明けても手は伊弉冉さんを描き続けています。ちょうどパ止めを聴いて15日目の夜、21:30頃にお友達とモクリで通話していました。枚数はそこそこ溜まっています。

「プリントオンさんのわくわくドキドキセット申し込んでみたいな」と口から飛び出していました。尊敬している印刷所さんのおまかせ本セットです。「やりましょう」お友達の明瞭な回答に動揺します。いいのかな?こんな‥全然なにも詳しくない人が本なんか出して。「‥脱稿するまで通話してくれますか?」「いいですよ」‥優しい。

翌日10:00印刷所さんにデータを入稿しました。タイトルは「透明」、入力はテプラです。書体が2つあったので、お友達に明朝体とゴシック体 どちらがいいか選んでいただきました。

同じ時期、手が勝手にオンリーイベントに申し込んでいくのを見届けました。‥そして絵を描く手は止まりません。初めて締め切り、という存在を意識した瞬間でもありました。


今日は8月8日です。

新刊、透明はベルベットPPがかけられた表紙に透明なインクによる雨が伊弉冉さんの上だけに降る‥非常に美しいものでした。あまりにきれいで、常に視界に入る位置に一冊置き 見返しては幸福に包まれています。

現在は2冊目となる新刊「星影」が既に届き、小口染めの工程を自身の手で終え 現在は箔による天地小口への模様入れを行なっています。

星影のノベルティは、アンケートにより金色のトレーシングペーパーを700枚発注し 多角形の星を組み合わせた王冠を製作しました。あまりに脆く、大阪への搬入が困難であった為、ケーキ屋さんの専門店でトレーと箱 袋を購入し厳重に梱包して車で運ぶことになりました。

頒布価格は透明が1,000円、星影は15,000円です。もはや私には何がなにか分からなくなってきました。

ですが、工場での過酷な労働10時間〜毎日5、6時間近く絵を描き続けたこと。体重が12キロ落ちたこと。印刷所さんの想定していないオプションの盛り方をしてしまい、専用のテンプレートを作成していただいたこと。この99日間、新鮮で‥生きていて一番楽しいと感じています。

8月23日のイベントに参加予定です。

右も左も分からない。こんな心地は生まれて初めてです。本が形になっていくのを見ていると、不思議な気持ちになります。

疲れてしまった、眠らせてくださいと懇願しながら絵を描く自分は狂っていますが 見守ってくれた方々がいてくれたことは確かです。本当にありがとうございます。感謝しております。

果たして‥私は成仏できるのでしょうか?

それは分かりません。月日が経過しても変わりなく、伊弉冉一二三さんのことが大好きです。好きで‥好きで‥貴方の幸せを祈っています。

パーティーを止めないでという素敵な曲を通じて、祈ることを知りました。祈りが形になっていきました。パラレルなワールドです。

当日どうなるか分かりませんが、少なくとも私は今日という日が迎えられて幸せです。イベントまで残りわずか。不備がないよう努めて参りたいです。

‥以上、恐らく急に沼に落ちたオタクの作文でした。

最後まで目を通していただき、心より感謝しています。あなたにとって今日という日が素敵なものでありますように🌟



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