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トレジャーハンターに僕はなる!?

僕の家族親戚の男たちは
みなトレジャーハンターだ。

そう。世間でいうところの
お金待ち。

ではなく、某食レポに例えるなら
父も祖父も親戚も
みな「頭皮が宝石箱」状態なのだ。

そんな中にも1人だけ
宝石箱の蓋が閉じられ、
黒々とした森を
頭部にしたためている
親戚のおじさんがいる。

『唯一の僕の望み』

「この人と同じ遺伝子であってほしい」

幼ながらにもそう願わずには
いられなかった。



時が経つこと10数年、、、
田舎出の僕は都内の大学に入学し、
順風満帆な大学生活を送っていた。

通勤時間帯の満員電車には、
野望に満ち溢れ光輝く若者や
疲れ果てながらも頭上に宝石を
したためる会社員。

それを見て、田舎の家族親戚を
思い出しながらも
平凡な毎日を過ごしていた。

夏休みのこと。

世間でいうところの
お盆休みのころ。

田舎に帰省しては、
地元の友達と
仕事やプライベートの話を肴に
お酒を飲むのが恒例行事となっていた。

その日も旧友との
久しぶりの再会を喜び、
明け方までお酒を酌み交わし、
酩酊とした状態で
何とか帰宅した。

実家ということもあり、
酩酊としながらも
家族らを起こしてしまわないよう
家の電気を点けなかった。

その代わりに
自分のiPhoneのライトで辺りを
照らして自分の部屋まで
戻ろうとした。


その時だった。


「ピカッ」


僕のiPhoneのライトが
明らかに何かに反射した。


「鏡?」


「いや。そんなところに
鏡があるわけない。」


「まさか。怖いやつか。」


酩酊としながらも
自問自答を繰り返した。

お盆というタイミングが
相まったこともあり、
僕は「怖いやつ」であると
ある種の確信を持っていた。 

「いや。同じ場所にもう一度ライト
を照らしてみよう」


「ピカッ」


また同じように反射した。


恐る恐る近づく。


人の後ろ姿にも見える。


と思った瞬間、
人の後ろ姿らしきものが動いた。


「まずい!気づかれた!!」


僕は恐怖のあまり
身動きをとるどころか
目を開けていることすら
出来なかった。 


恐る恐る目を開ける。


人だ。
しかも見たことがある。


ま、、さか






「親戚のおじさん?」

 



そう。
僕の唯一の望み。

お盆休みで帰省していた
親戚のおじさん。


頭部に隠し持っていた
立派な宝石箱に
反射していたのだ。


唯一の望みが絶たれた。


あまりにダメージが
大きかったのか、
僕の記憶はそこで途切れた。

それ以来、親戚のおじさんとは
会っていない。

事の真相も明らかになっていない。

あれは「夢」だったのだろうか。

それとも「怖いやつ」の類で
あったのだろうか。

何が正解なのかは
僕自身もわからない。

一つ言えるのは、
「夢」や「怖いやつ」の類で
あってほしい。



ただ、光輝く僕の頭部を見る限りは
現実だったのだと思う。

 

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