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佐渡シエナとシンフォニックダンス

リハーサル初日から千秋楽まで約2週間、11回の本番を数えた佐渡裕×シエウインドオーケストラのツアーが、昨日クリスマスイヴに千秋楽を迎えました。

リハーサルから音の間違いを修正したり楽器を足したりと何度も楽譜が変わり、ツアー中にもプレイヤーの意見を取り入れながら加筆修正されようやく完成した吹奏楽版バッハのシャコンヌ、挾間美帆さんによる抜群にカッコいいアレンジのクリスマスソング、そして後半には佐渡さんの師匠バーンスタインに対する思いの詰まったディヴェルティメントにシンフォニックダンス、アンコールはバーンスタインのキャンディード序曲と、今年も充実した内容でした。千秋楽にはスペシャルゲストとしてミュージカル界のプリンス井上芳雄さんが登場して何曲か披露して下さいました。

そんな中身の濃い演目で最後は7日連続の移動と本番を繰り返すハードな1週間。シエナは佐渡さんが指揮台に上がるといつもの2割、3割増しの不思議な熱量になります。長年築き上げてきた関係からくるあの雰囲気、これはなかなか体験出来ません。佐渡シエナのツアーに出演させて頂くようになって今年で11年目、今回もまた「乗り切った…」という達成感とあの熱量から離れる寂しさに包まれています。

毎年このツアーでは佐渡さんが賞金を出して「メロディーに歌詞をつけるコンテスト」や「ツアーにまつわる俳句コンテスト」を開催し、ツアーの最後の方で佐渡さんが主催する大宴会で結果発表をして盛り上がるというゲームが開催されるのですが、今回は「絶対」と言ったら一回につき罰金100円というゲームで、その罰金の総額が打ち上げの費用の一部となりました。
僕は中低音メンバーではダントツの20回、2000円の貢献。このゲーム、本番後に呑んでいる時は気をつけて言わないようにしているのに、ホテルに戻る帰り道に気が抜けてポロッと出たりします。僕は中低音メンバーで一番喋るので不利なんですよね。たぶん。ちなみに総額4万円を超えたそうで、絶妙な言葉の設定だった事が分かります。こうしたツアー中の遊び心溢れる「部活感」も佐渡シエナの魅力の一つだと思います。

個人的には、今回は良く響くホールが多くて、気持ち良く演奏する事が出来ました。特にディヴェルティメントではピチカートが良く鳴ってくれたと思います。僕がTwitterで「良く響くホールでした」と書いた時はとても響きの豊かなホール、響きに触れていない時はどちらかというとデッドなホールのとき。こうした裏を読みながら投稿を見て頂くのも良いかもしれません。

さて、バーンスタインのディヴェルティメントでは、本来ファゴットとのsoliだった箇所が佐渡さんの「コントラバスソロにしよか」の一言で、今回のツアーの悩みどころになりました。たった1小節なんですけど、普通に弾くとどうしても良いフィンガリングが無くて変なシフトになる嫌なポジション。リハーサルではいまいちピッチがしっくり来なくて試行錯誤した結果、ハイポジションで親指を軸にしてハーモニクスを使えば綺麗に弾ける!となり、大して高い音域でもないのにハイポジションで演奏した結果、11回の本番で8勝3敗。ハーモニクスが発音しなかった本番が悔やまれる…。
そうそう、シエナでは普段から吹奏楽特有の「弦バス」という呼び方が笑いのネタになっており(僕が原因なんですが)、今回も「ソロが綺麗だったらコントラバス、失敗したら弦バス」なんて笑い話にもなっており、千秋楽は無事にコントラバスで終われました。
昔なら失敗したらドーンと落ち込んでいたものですが、「出した音は戻ってこない」という佐渡さんの言葉をきっかけに引きずらなくなりました。失敗したら原因をしっかり考え、次へ向けて準備すれば良いんですよね。

そしてメインのシンフォニックダンス、実は数年前まであまり好きではありませんでした。それを覆してくれたのが、ピアノを弾きながら音符の意味を解説して下さった宮川彬良さんのリハーサル。あれは衝撃だったなあ。そこに今回バーンスタインの弟子だった佐渡さんの音楽的なエッセンスが加わり、今では好きな曲の一つとなりました。音楽って面白い。

一つ残念だったのが、このツアーを聴きにきた生徒の少なさ。佐渡シエナのあの空気感こそ現役吹奏楽部にはぜひ聴いて欲しいのですが、佐渡さんがテレビ朝日「題名のない音楽会」の司会をされた頃から客層がガラッと変わった気がします。
もちろん、単純に学生に手の届きにくい高額なチケット代も原因だとは思うんですが、テレビで佐渡さんを知った年齢層が高かったこと、そして相変わらず「演奏会を聴くより練習」という悪習に囚われた吹奏楽部が多い事が理由に挙げられると思います。
よく生徒には「10回の合奏より1回プロの演奏会を聴くほうが効果あるよ」と伝えるのですが、未だに顧問の先生に言い出せない雰囲気があるようです。残念ですね。

そんな寂しい話はともかく、こうして佐渡さんとのツアーが終わると、毎年寂しさに襲われるのですが、また来年もこのツアーにお声がかかるよう、努力精進していこうと思います。

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