ゲーム内ポイントがサービス終了で使えなくなったとき

昔やっていたあるスマホゲームは、課金してゲーム内ポイントを購入し、ポイントを使ってアイテムを購入できる、よくある仕組みだったのだが、そのゲーム内の仕組みが変わって、持っていたポイントが100ポイントほど余ってしまったことがあった。

一応、旧システムのポイントを使用できる仕組みだけは残っていたのだが、ポイントの追加購入はできなくなっており、アイテムの最低価格が120ポイントだったので、100ポイントの余りはどうすることもできない。

そこで運営に問い合わせてみたところ、以下のような返事だった。

恐れ入りますが、2014年9月末を持ってウォーズポイントの販売終了の告知をさせていただいており、アイテムの購入未満となるウォーズポイントについては現在ご利用いただく方法はございません。

うーん、取り付く島もなさそう。

とはいえ、ゲーム内ポイントとは言え、半分貨幣のようなものだし、運営側の一方的なシステム変更でユーザの権利が消尽されてしまうのは理不尽に感じたので、もう少し調べてみたところ、関係する法律がありそう。

結論から言うと、半分ハッタリではあるものの、「資金決済法第20条の一部廃止に当たるなら払戻しをお願いしたい」という趣旨の返事をしてみたところ、以下の返事がきた。

こちらで改めてWPのお取り扱いについてご連絡させていただきました。

お客様のWPは特典による付与ではなくご購入されていたWPの端数という形で残っておりましたため、こちらについては何らかの形でご利用させていただければと思います。

結果的に100ポイント分のアイテムと交換してくれることになった。めんどくさそうなクレーマーだと思ってもらうことに成功したようだ。

今回は、ここに至るまでの調べ方をメモしていこうと思う。

ルールを調べる

まずは雑に検索して、そもそもルールがあるのかどうかを調べてみる。

「ゲーム内ポイント 返金」で検索して、最初にでてきたページがそこそこ近しいことが書いてある。

どうやら「資金決済法」という法律があるようだ。そして、「ゲーム内通貨は、一度課金すると原則として払い戻しができません」「廃止時以外の払い戻しは原則禁止されています」とある。

今回のケースは、ゲームそのものは廃止されていないが、ゲーム内ポイントのシステムはなくなっているので、廃止に当たると言えるかもしれない。そうであればその点を主張して返金を求めることができるのではないか。

それではそういう主張をしてみたいと思うが、法律を根拠にするなら具体的な条文を示した方が、説得力がありそうなので、法律を調べてみる。

根拠法令を眺める

まず「資金決済法」で検索すると、最初に出てくるのがこちらのページ。

だいたい法律の正式名称は長くて、それを略した通称が使われることが多いので、資金決済法の正式名称はこのとおりなのだろう。

ちなみに、e-Govは日本の法令が掲載されている政府のウェブサイトなので、法令を読みたいときはこれを見るのが無難。(最近は更新が遅いので直近の改正が反映されていないことがある点には注意)

まず目次を見てみると、いくつか固有名詞らしきものがあり、「前払式支払手段」というのが、ゲーム内ポイントのことを言うのではないかと思われる。

その関連性を調べるために、それぞれで検索してみる。ちなみに先のウェブページでは「ゲーム内通貨」という単語を使用していたので、おそらくこちらが界隈で使用されていそうな単語と考え、「ゲーム内通貨 前払式支払手段」で検索。まぁいろいろページが出てくるけど、よくあるゲーム内でポイントに課金するタイプのものは該当すると考えてよさそうと判断。

で、法律に戻る。目次をざっと眺めて、返金っぽい単語が見当たらないので、仕方なく前払式支払手段の章を順に眺めていく。ほぼ各条の小見出しだけを順に見ていくと、第20条に(保有者に対する前払式支払手段の払戻し)がある。これがそれっぽい。

中身を読んでみると、第1項で「~次の各号のいずれかに該当するときは、~払い戻さなければならない。」とあり、各号としては、第1号で「前払式支払手段の発行の業務の全部又は一部を廃止した場合」とある。

一部廃止した場合にも払い戻さなければならないことが明示されているので、今回のケースはこれを根拠に、ユーザーに対する払い戻し義務があるんじゃないかな、と想像し、冒頭のやり取りに続くもの。

実際の権利関係は不明

結果として返金ではなく、ゲーム内アイテム購入を特例的に認めるという対応だったので、法律の規定とも少し異なるんじゃないかと思う。

事業者側に返金の義務があることを認識しつつ手続きの煩雑さからアイテム交換で打診することにしたのか、あるいは返金の義務は無いとはわかりつつも、めんどくさいユーザ判定してアイテム交換だけして黙らせておけ、という判断になったのか、実際のところはわからない。

法律の解釈としても、本来は上記のような単純な読み方ではなく、例えば有効期限が設定できるといったの別の関連規定があるかどうかとか、第20条の中で記載のある「内閣府令で定める額」に何が該当するのか内閣府令を調べてみるとか、そういう確認をした上で解釈を固めていく必要がある。

今回は、調べるのも面倒だったので、とりあえず質問してみて、解釈が間違っていれば反論があるだろうという想定で送ったもの。表面的な解釈で結論を確定させるようなことはしないように留意したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?