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【商品開発エピソードvol.3】フリーズドライへの執着

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フリーズドライ技術に惚れる

フリーズドライ(凍結真空乾燥)は横文字だが、高野豆腐に代表される日本人には馴染みの乾燥方法だ。
凍結させた食材を真空状態で昇華(※1)させるため、乾燥加工に熱が必要なく、水分もほぼ完全に抜くことができる。さらに加工の際、素材に圧力がかからないのでほとんど変形せず、食材をできるだけそのまま犬に届けたいと考えていた私たちにとって理想的な乾燥方法だった。

そんな加工技術に魅せられて商品試作を繰り返したが、条件によって品質が変わるデリケートな部分があり思うようにいかない。特に商品化を目指した〈果物系〉は糖の高い割合がネックとなり、試作はことごとく失敗した。その上、比較的大型な真空装置を使うため少量生産・大量生産いずれにも不向きで、gあたりの加工コストも他の乾燥手法の何倍もするといういつ挫けてもおかしくない状況。それでもフリーズドライに心底ほれ込み、この加工方法なしに理想的なドッグフードのアイデアは膨らまなかった。

創業からあるロングセラー商品の納豆・チキン・野菜はすべて"フリーズドライ加工"。
今でもフリーズドライには想い入れがあり、食材の特長によって4種類の加工技術を使い分けるほどのこだわりを持っている。

(※1)昇華・・・固体から液体を経ず気体になること。

食品業界にもない“犬用”品質

〈無添加〉にもいろいろな解釈がある。原料の仕込み段階で保存料を使用した場合、保存料不使用になるのかどうかは各メーカーによって分かれるところだ。「ドットわん」の場合はお客様が誤解を招かない表現を基準にするため、素材の仕込み段階も含めて保存料を使わないものを〈無添加〉として扱っている。そのため扱いがデリケートな当社の〈無添加〉商品は、食材の品質管理と独自加工技術、パッケージ技術によって流通させている。


フリーズドライ加工専門の協力会社に、「無添加のフリーズドライ商品を作りたい」と相談したところ、「味付けや添加物の入らないフリーズドライは商品化した事がない」と意外なことを言われた。「食材は原料によって水分量が異なる。もともとのお肉や野菜を仕入れた重さと出来上がった重さがいつも違うと、定価で売れないんじゃないか」とも心配された。当時の食品会社は保存料や添加物使用への抵抗は少なく、私たちのオーダーは不可解だったに違いない。ましてや表示があいまいなペットフードなのだから、本当に売れるのかと懐疑的に受け止めたようだった。ただ飼い主が知らずのうちに選択し、イヌが際限なく口にする添加物にまみれた食事環境を変えたいという想いは強く、当時はただただ〈無添加〉に執着していた。

「ドットわん」による人間用と犬用の区別。それは調味料や着色料・香料を使い、「美味しく食べやすい」といった味覚に重点を置く人間用に対し、犬用は安心感を重視し “素材品質”で付加価値がつくものだと考えている。嗅覚の鋭い犬には違いが分かる商品を作り続けたい…今もってその考えが揺るいだことはない。

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