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誘戯❾

娘の様子がおかしい。最近帰宅する俺に飛びついてこない。14歳だから当たり前か…。少し寂しい気がする。金は年収分以上入った。妻を楽にさせても良いとも思った。ただ、蕎麦屋のパートが妻の生きがいになってるとも言える。社会との唯一の繋がりを断ち切るのもどうかと迷う。

そんなある日、大江が車で出勤してきた。中古とはいえ120万のポルシェカイエンだ。カイエンは10年落ちで100万程度のがゴロゴロしてる。それでも見栄えがいいからお買い得だと思う。ただ、この馬鹿野郎は一括で買ったと言いふらした。親も死んでないのにだ。ナンバー2の高野が俺に「お前ら隠れて何かしてるか?」と耳打ちしてきた。流石に鋭い。普段はニコニコしているこの男が見せる凄みに慄いた。「一括なんて嘘ですよ。多分ローンですよ」そう返すと「そうだよねぇ。大江ちゃんだもんねぇ」といつもの高野に戻ったが油断できない事だけは分かった。大江にはキッチリ釘を打っておく。

大江に盗聴機材を持たせて俺は家を見て歩く。取り外しまでの全ての作業をある程度大江に任せた。大江を育ててみたくなった。日々緊張感を持たせればカイエンを一括でなどというバカ話もしなくなるだろうと思った。が、それが失敗だった。驚く事に大江が強姦で捕まった。休みの日にもっと稼ぎたいからと、一人で盗聴バスターズをやっていたらしい。その先で女子大生にムラムラしてしまったらしく、本人は同意の上と言っていてもクソビッチに金目当てでレイプされたと言われればそっちが通るのが今の日本だ。名刺などは作ってなかったが、車のナンバーで足がついたらしい。機材を大江に持たせていた俺が馬鹿だった。全てを覚悟した。家庭を失い仕事も失い美沙も失う。そう覚悟をしていた。

だが大江は口を割らなかった。機材は自分で買ったと供述してくれた。あんな馬鹿でも俺に対する義理は通してくれたのが嬉しかった。そんな事もあり示談金は俺が工面してやった。会社にも頭を下げクビだけは回避させた。こんな事があって大江は俺の事を佐々岡さんから「兄貴」と呼ぶようになった。

美沙は美沙で時たま「店長恐喝」を生業としていた。手口はあの時とほぼ同じ。店長と運良く二人きりになれたなら、店長が身体を求める展開にし、事が済んだら購入済みである証拠を見せてその場を去る。後日全てを録音したボイスレコーダーを聴かせ100万を脅し取る。警察に通報される心配のない完璧なやり口だった。色々な街に遊び感覚で行けて稼げると喜んでやっていた。俺にも小遣いをくれる良い女に育ってくれた。

俺はこの半年弱で生活が大きく変わった。信じられない変化だ。信頼できる2人のおかげで金にも困らない。俺が本業に集中して副収入が得られなくても、この2人が少しとはいえ小遣いを入れてくれるのが本当に嬉しい。

休日、大江と電波を漁っていると面白い所に出くわした。そこは何かの工場だ。東南アジア系の若者が出入りしている。その数があまりにも多い。10人以上はいるだろうか。この場合も裏に暴力団の影がチラつく危ない仕事になる。その場に現金があるわけでもない。既に内偵も進んでいる可能性もある。経営者を脅すにも金額は程々にしておくべきだろう。工場の休憩時間に外人達がゾロゾロ出てくる。俺達3人はそのタイミングで1人ずつ工場の前の道路を通過しながら隠し撮りをし、とりあえず10枚程写真を撮った。なかなか可愛い子もいる。どこかのパブで働く方が金になりそうなものなのに。

他人名義の口座に振り込ませようと思ったものの、それを持ち合わせていなかった。今時、ホームレスを使った架空口座ならいくらでも作れる。美沙に依頼するのが一番早いし安い。手ごろなホームレスに戸籍があるかを確認し、その場で汚いアレを手コキ、後日口座と引き換えに現金10万を手渡しする約束で用意してくれた。俺のためなら何でもする。煽り運転で捕まったアホの相棒のガラケー女より数倍優秀。

経費が10万かかった。とはいえ、脅してもここは50万が限界だろう。外国人を安く働かせて人件費を浮かせてるのか、それとも本当に人件費に困ってるのか分からないからだ。そして今回は美沙の協力が大きい。取り分は美沙が半分、俺が15万と架空口座、大江が10万になる。架空口座が手元に残るとはいえ安い仕事だ。にもかかわらず、この工場の狸野郎は脅しに屈しなかった。電話をかけると「お前、ウチがどういう会社か知ってるのか?」と言ってきた。「どうせヤクザのフロント企業ですよね。送った写真はご覧になっていると思いますが、警察の方に流しても問題無いという事ですね?」「ヤクザと分かっててやってるなら良い度胸だな」事前に写真を送っていた事がかえって気持ち的な準備を与えてしまった。このままでは押し切られる。「今回こちらが提示してるのは、無理の無い額です。これからは休憩所は外部から見えない所にして、出退勤は車で送迎してはどうでしょう?勉強代だと思ってもらえるとこちらも助かります」要は話術だ。「うちの会社にもケツモチがいます。バックにヤクザがいるのはお互い様です。今回はたまたまそちらがウチの外回りに引っかかってしまっただけですので、特別そちらの組に喧嘩をふっかけてる訳ではないんです」電話営業の成果がここで発揮された。「わかった。50万で今後追加は無いんだな?」「はい。ありがとうございます。僕も上の指示で、やりたくてやっているわけではないんです。本当に助かります。入金さえ確認できればこちらから連絡する事はもうないので安心して下さい」口座番号を伝え電話を切る。

この電話は俺にしかできなかっただろう。横にいたのは大江だけだったが、美沙も俺の横にいてやり取りを聞いていたなら取り分も違っていた。

営業所に戻り通常業務をこなし20時には美沙の家に着いた。今日の美沙はまたそそる…。最初に会った時のくすみもエステと化粧品で見違えるようだ。ぐっと俺の年齢に近づいている。ノースリーブの脇から胸を揉みしだきその気にさせ服を脱ぐ。お互い色々な汁で指遊びが加速すると我慢できずゴムも無しに楽しんだ。中に出すのは当たり前で、股から混ざり合った体液がダラダラと流れ落ちる。「美沙、AVの見過ぎに注意だぞ!」と言うとニコリと笑う。俺を喜ばそうと頑張ってくれる。そこに俺は惹かれていった…。

帰宅したのは11時前だった。娘が近づいてくるが抱きついてはこない。「お父さん、誰か好きな人いるの?女の人の香水の匂いがするよ。お母さんを悲しませないで」冷や汗が出た。顔も一瞬で青白くなっただろう。「会社の人達と社長とでキャバクラに行ったんだ。最近会社の売り上げ好調だから」そんな返ししかできなかった…。妻なら嘘だとすぐ見破るだろう。慌てて服を洗濯機に投げ込みシャワーを浴びた。

☆フィクションです。

どうせ逃げてる外国人働かせるなら、臓器のために人身売買を商売にした方が…。いや、冗談です!冗談ですよー!


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