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388/731 バイデン新大統領就任演説に思うこと

大統領就任式でのバイデン新大統領のスピーチをようやく見た。ミルキーブルーな冬晴れの中、物理的距離がしっかり取られた議事堂前での20分強のスピーチでは、「連帯」(unity)、と「良きこと」(good)というキーワードがそこここに散りばめられていた。

We must end this uncivil war that pits red against blue, rural versus urban, conservative versus liberal." 中略 “We can do this if we open our souls instead of hardening our hearts.

(青(民主党)対赤(共和党)、農村部対都心部、保守対リベラル、のようなuncivil warに終止符を打たねばなりません。(中略)心を頑なに閉ざすのではなく、魂を開くことができれば、それは可能なのです。)

先日のアメリカ議会襲撃を表現するにあたり、uncivil warという造語が用いられていた。

Civil warとは南北戦争のことだ。アメリカの分断を象徴する戦争と、uncivil war (無意味な戦い)とを掛けて表現している。uncivil には無作法という意味もあるので、それも掛けているだろう。民主主義国家での意見の交わし方として、あのような行為に出ることは許されない、と。

Democracy is fragile. 民主主義は脆く、
Unity is elusive.  連帯は一握の砂。

アメリカだけではなく、民主主義国家と言われている国々ではどこも同じことを感じていると思う。民主主義国家の名の下で行われている全体主義的な手法に対する是非や、生活に対する不安が煽る分断。

人々の連帯は、いともたやすく指の隙間からこぼれていってしまう。

スピーチの中での3つ目のキーワード「真実」(truth)の対象となっているトランプ前大統領は、就任式当日の水曜日の朝にホワイトハウスを発っている。

前大統領が次の大統領の就任式を欠席するのは、1869年以来だそうだ。元副大統領ペンスは参加していたが、「今日ここにいる誰それさん」とバイデン新大統領が賓客に触れるたび、ペンスさんの名前も何度か出てきた。それで余計に、トランプさんの不在が浮き彫りになっていた。

beacon to the world 世界の灯台に

そんなスピーチをした直後から、バイデンさんはトランプさんの大きな政策を片っ端から否定しまくっている。民主党支持者から見れば「動きが早い」と喝采の対象となるが、まだ半数弱は確実にいる共和党支持者らには、「喧嘩売られてる」と捉えられそうで、少し不安だ。これが新たなununity(非連帯)の火種にならないことを願う。(個人的にはパリ協定脱退の撤回は大拍手だけれど!!!!)

People's group are defined by the common object of love. (人の集団は、共通した愛情の対象によって定義される)

残念ながら、「共通の敵」によって団結し、巨大な権力を勝ち得た集団も歴史上多々存在する。

どうか、アメリカがお互いの違いを認め、異なる意見を持つことに敬意を表し、「区別」と「差別」を履き違えることのない国になりますように。

明日も良い日に。

英語の全文動画は、以下記事の冒頭近くに張ってあるリンクから見られます。






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