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10円のクッキー

今年初のえみちゃんのボディライトニングを受けに行って参りました。

初体験時の日記はこちら。

今回顕著だったのは、耳でした。施述後半、耳が、すんって抜けたんです。ダイビングしてる時の耳抜きに似ています。またはエレベーター。今まで、耳に膜が張っていた感じです。それに気付かず生活してたら、膜がある状態がいつの間にやら定常状態になっていたよう。終わってから、世界がより明るくなりました。音が抜けると、視界も抜ける。五感って想像以上に連動しているんですね。

終了後、ほわっとしながらお茶を頂いていたら、会場のお子様の幼稚園の年中さんのAちゃんが、ドアからちょこんとお顔を出して言いました。

「クッキー焼いたんだけど、見る?」

焼きたてのほやほやをまだ冷ましているところだそうで、持って来られなかったのです。お招きとあらばと、いそいそと拝見しに行きました。とってもかわいいチョコクッキーがずらりずらりとお出迎え。キュンキュンしていたら、一枚どうぞ、と声をかけてくれたので、お味見させて頂きました。まだ暖かい焼きたてクッキー。この瞬間でしか味わえない特権です。なんでも明日、お家の前で販売するのだとか。

アメリカだと、お家のお庭で手作りレモネードをキッズが販売したりするのですが、そのノリだなあ、とついでに懐かしんでみたりして。

今回は一枚10円で販売予定とのことで、ではでは、と10円玉をお渡ししました。茶色い硬貨を受け取ったAちゃんはてってけてーーーと向こうへ走っていきました。数分前より幸せ度アップな私は、居間へ戻って紅茶の残りをいただくことに。そこへ、再びAちゃんがてってけてーーーと戻っていらして「はい、お釣り」と言うのです。小さなおててには銀色の100円玉が一枚と、茶色の10円玉が一枚。

おおおおおおおおおい、Aちゃん、増えとるがな!!!!!その場で突っ込むも、Aちゃんは銀色硬貨も茶色硬貨も受け取ってくれません。後で渡そう、と思い直し、とりあえずありがとうねと伝えてから、お茶を飲み干しました。

数分後、Aちゃんに、「お釣り多かったよ!せめて半分こにしよう!」と提案してみました。100円玉をAちゃんに、10円玉を私に、なら(クッキーのお代は払ったことにはなっていないけど)せめて受け取ってくれるかな、と思ったのですが… Aちゃん、否定するでもなく、拒絶するでもなく、ただ単に、受け取ってくれませんでした。

大人と大人で、お食事を終えた時、どちらが幾ら払うか、みたいになったりするじゃないですか。「いやいや、ここは私が多めに」「いやいやそんなに受け取れません」みたいなテンプレやりとりはあるものです。最終的にはどこかで落ち着くけれど、少なくとも決着がつく前に、何応酬かはあると思うのです。

ところがAちゃんは、拒否るでもなく、イヤイヤするでもなく、ただ単に、静かに、何も言わないで、受け取らなかったのでありまする。

繰り返しますが、未就学児でございます。

わたしは、10円もらった時に110円返したことなんて、人生で一度でもあっただろうか。こんなに純粋に、駆け引きをしない選択をしたことなんて、あったかしら。

背筋が伸びました。

お子様らに多少なりとも背中見せられるように頑張ろう、とちいと気合を入れ直し、寒気の強まる帰宅の途につきました。

えーーー、そんなわけで、巡らせなければならない、手元に残った110縁。これ、どこにどう使ったらAちゃんへの最大のご恩送りになるのかなあ。冬のお楽しみのお汁粉ドリンクではないわいなあ。良いアイディア募集中。

写真は、近所の小さいぷちぷち。可愛いなあ。


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