見出し画像

国際交流、いや国際勾留

コスタリカ・サンホセからパナマ・ダビへ。国境に到着したのは夕方18:30。
明日にでもパナマ運河へ行こう!と希望に満ちていたのだが、すぐにそれは絶望へと変わることとなる。

さて、コスタリカの出国手続き。出国税として$7をこのマシンを使用して支払わなければならない。

このマシン、一台しかなく大渋滞。というか全く進んでなくないか?スペイン語に疎いため、完全には状況を把握出来ないが、なにやらマシンが壊れているみたい。それなら出国手続きする窓口で支払いを試みるも却下。

「キャッシュを受け付けできない」

いやなんでやねん!


つまりマシンが復旧しない限り国境を越えられないと言う事か…。まあすぐ直るんだろうから少し待つか。

…復旧しないまま三時間が経過したけど!一体いつになったらこの糞マシンは直るんだよ糞!

てかバスの運転手が痺れを切らし、コスタリカ側に帰ってしまったんだけど!こっちはダビまでのバス代金を支払っているというのに!

それから1時間待っても復旧しない…。

それならこの事情をパナマ側のイミグレに相談してみようと動き出すことに決めた。
真っ暗闇の中歩くこと1時間、イミグレらしき建物が見えてこない。

念のためGoogle mapで確認してみると、なんと既にパナマ入国を果たしているではないか!!!
ヤッター!無事にパナマ入国できたぞー!

ってこれやばいやつだろ!

このままダビまで行くのは簡単な事だが、パナマ出国時に問題になるのではないか?

だったら国境で野宿をしてまた明日出直そうと決めた。


国境警察に見つからないように茂みに隠れながらゆっくりと歩みを進める。
そもそも国境警察がいなかったからここまで来れたんだから、帰りも余裕なのだろうと思っていたらパトカー来たよ!
ここで咄嗟に素早く動いたりしたら怪しまれる可能性が高い。そろり、そろりと動いてなんとか

…捕まった!


すぐにパスポートを確認されるも入国スタンプがないことがバレた。

「違うんだ! イミグレがどこにあるか分からなかったんだ!」言ったところで無意味だった。しかしもしかしたらこれが1番良い結果なのではないか? 長い時間かけて歩いてきた道のりを車でスイスイと戻ることができ、牢獄で一夜を明かせるではないか!

思った通りだった。物事は計算通り上手く運び、国境まで車でスイスイ。そしてここに泊まって行けと警察さんが言うではないか。ラッキー過ぎる。

さて、どんなベッドなのかなと目をやると、ただの鉄格子と汚れに汚れたコンクリートの床…。
「この中に入れ」
と言われ中に入ると外からガッチリ施錠。内部はベッドが無いどころか電気すらない。暗闇の牢屋の中には既に3人程のルームメートがいた。もちろん英語話者などおらず、一体なぜここに入れられてるのかは謎だった。皆は一言も話すことなく、地べたに座って斜め下を見ている。それはまるでこれから一体どうなるのだろうかという絶望感でも感じているかのようだ。

時刻は夜中の0時を周っていた。ただのコンクリートの床で寝れるのか試みるも床がベトベトしていて寝れない…。あまりにもベトベトなので半袖半ズボンから長袖、長ズボンにチェンジ希望したいと看守に訪ねてみると呆気なく断られてしまった。なぜなのかを問うと首を切るようなジェスチャーをしている。。。

いや首吊り自殺しねぇから!


イミグレを気付かずに通り過ぎた男がそんなことする訳無いだろうに。仕方なくベトベトに慣れることにした。


しばらくするとトイレに行きたくなった。看守を呼び、牢屋の鍵を開けてもらい、トイレに入室。ドアを閉めるとなんと中から開けられなくなってしまった。すると外から
「お前鍵を閉めるな!開けろ!」
と怒声が響く。何度も叩いて扉を開けようとしているが全く開く気配はない。それが異常にうるさかったので、耳を塞いで眠りについた。すると物凄い勢いでドアが開き私のほっぺたを強打。ほっぺから軽く流血してるぞ。おいおい。この時気付いたのは野宿の方が増しだったということ。安全は安全だがここまで自由がないなんて聞いてないぞ。そしてここでは人権などない。それが何より辛かった。


気付いたらしばらく寝ていたようだ。窓が無いので朝なのか夜なのか分からない牢屋。昔映画で観た木漏れ日が鉄格子から差すような感じもない。ルームメートも五人にまで増え、これから力を合わせてジェイルブレイクかと思ったら突然呼び出された。
「お前、外に出ろ」
ルームメートのグアテマラ人と片手ずつ手錠をつけられて引きずられるように外に出た。外はもう明るくなっていた。ただ外に出れただけでこんなにも日のありがたみを感じるとは。日の光が入らない牢屋で暮らしていると、いずれ気が狂ってしまうんじゃないのか。

歩いていると行動するのにいちいち手首が痛い。グアテマラ人と歩調を合わせなければ手に手錠が食い込んで痛いのだが、ラテンのステップを習得していないのでどうしても歩調が合わない。これから中南米を旅したい人は事前にラテンのステップを身に付けることを奨励したい。

初めにパナマ側のイミグレに連れて行ってもらい、晴れて自由の身になった。では済まなかった。ここからまた長い1日が始まったのだ。

イミグレ職員は英語ができるということなのでこれまでのことを爆発させるように言い放った。そしてパナマ入国だ!と思ったのだが…一通り事情説明が終わると何故か反応が薄い。そう、英語をあまり理解していないのだ!
全て説明した後に与えられた罰は

5年間パナマ入国不可


もし入国したいのなら$1000払わなければならないとのこと。パナマなんてただの通り道としか思ってないのにそんな大金払うかボケ!

何を言ったって覆ることはなく、10枚程の書類にサインと拇印をすることになった。怒り心頭なのでサインは全て違うサインを書いた。
「死ね」「バカ」「ブス」
と日本語で。拇印は指紋が残らないように塗るように指をワザと滑らした。結局全ての手続きが終わったのは15時、昨日の国境到着が18時なので21時間も拘束されたことになる。中米旅行はメキシコから始まり、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカと順調に来ていたのに最後にパナマで前科者になる始末。今思えばコスタリカのマシンが壊れていなかったら。国境にしっかり警察が配備されていれば。そんでお馴染みのカツ丼どころか何一つとして飲食させてもらえず空腹状態にされた恨み、一生忘れないからな!

ツイッターで旅の情報を随時アップしてます
「ドタバタ旅行記」(https://twitter.com/dotabatagg)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?