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ペルーでプチ体験「恐ろしき首絞め強盗」

エクアドルのキトで3日連続盗難にあったので、エクアドルアレルギーが発症。有名な赤道を見ずに早々とエクアドルから退散しようと急いで夜行バスで移動した。到着したのはエクアドルに隣接したペルー側の国境の街トゥンベス(Tumbes)。ようやく災難だったエクアドルともおさらばできたし気持ちを切り替えて行くぞ!と思っていたのだが、泣きっ面に蜂。負の連鎖というものはそう簡単に途切れるものではなかった。

国境からトゥンベス市街までモトタクシーで向かうため、お決まりの料金交渉。相手の言い値をさらりとかわし、安値をふっかけて5ソル(約178円)の安価で交渉が成立。次の街へ行くためのバスチケットを手配するため、バス会社まで連れていってもらうことになった。到着してチケットを購入しようとするも、金が不足していたので購入不可。するとモトタクシーのドライバーが
「無料で両替所に連れていってやる」
と心優しいお言葉。それに甘え、行ったり来たりを繰り返した結果、なんと当初の5ソルではなく、3倍の15ソルを請求してくるではないか。正直チップを払いたいという気持ちはあったがクレジットカードもなく、残り現金も底をつきそうだったので拒否することに。当時のスペイン語力では全てを説明するなど不可能であり、正直ドライバーには悪いことをしてしまったと後悔した。
チケットを購入し終えた後、観光でもしようかとバス会社を後にしようとする時だった。目についたのは入口にある料金表。支払った料金と照らし合わせると驚いたことに、通常料金よりも20ソルも上乗せしてあったのだ。でもこんなことはよくあること。上乗せしてある分は運転手のインセンティブとなるに違いない。そこで運転手に
 「15ソルが欲しいならまず20ソルを返せ!」
と言うと渋々だが返してくれた。その後、運転手に10ソルだけ渡して逃げた。本当ならトラブルを回避するためにもこんな少額くらい見逃してあげたいのだが、当時の私には見逃してあげられるほどの余裕はなかった。 


何も無いトゥンベスだが、バスの出発時刻まで相当時間があったので近くの大きな川まで歩いていくことにした。人混みが嫌いなので出来るだけ静観な道を選択。車も人も通らないあまりに静かな通りだったので前方からやってきた1台のモトタクシーにはやたらと違和感を感じたのだった。

モトタクシーは横を通り過ぎるかと思いきや突然急停車。
そして運転手と後ろに乗っていた男が私に向かって走ってきている。1人は狙いすましたかのごとく私のウエストポーチを掴み、もう1人は私の後方に回り込む。

首絞め強盗だ!


中米から南下してくる間に何度も噂を聞いた。特にペルーで多発していると言っていたが、まさか身長181cmの割と大柄な男を襲いにくるとは思いもよらなかった。2人とも俊敏な動き。常習犯なのだろう。ウエストポーチのベルトごと引きちぎろうかという勢いでグイグイと引っ張ってくるのだが、私の使用していたウエストポーチはアウトドア用に作られた丈夫なもので、引きちぎられる心配はなく、後方の男に集中することができた。後方の男が私の首に手をかけようかとした瞬間、間一髪で身を屈めて回避することに成功。それと同時に誰かに気付いてもらおうと怒鳴った。すると後方も男はモトタクシーに引き返したが、前方の男は何が何でもバックを奪ってやろうと粘っている。それならばと、顔面めがけて鉄拳を見舞うとそそくさと退散していった。現場には、殴った時の反動で落ちた犯人のキャップだけが残った。

首絞め強盗未遂はそれで終了。辺りを見回すとなんと一部始終を見ていた住民が5人もいたのだ。彼等は助けてくれることもなく、お気の毒にといった様子でこちらを見ているだけ。これがペルーの現実。ペルー初日でこんな現状を知ってしまうなんて…。
しかし5日間で4度の被害に合うとは何たるふざけた現実なのだ。この日から
 「やっぱり神など存在しない」
の言葉を教訓とすることに決めた。そう、いつだって自分次第。日本のように困ったら警察というのは、ほとんどの国で通用しない。何かに頼るのではなく、自らが強くならなければならないのだ。
この首絞め強盗は、到着した時のトゥクトゥクのドライバーとのもめ事が布石になっていたのだろう。
「ふざけたアジア人旅行者がいるからやっつけろ」
などと町中のトゥクトゥク運転手に一斉送信され、首絞め強盗の標的になったに違いない。金も底を尽きそうな状況で首絞め強盗に全て持っていかれたら積んでいた。

こういう時に頼れるのは日本人。ペルーの首都・リマには「江田イン」という日本人宿があると聞いていたので早急に江田インへ行かなければと焦っていた。
この時はまさかその江田インに一生忘れることはないであろう面子が揃っているとは思いもよらなかった。

※これは2014年の話

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